新冠町で講習会が開催される
11月28日夜、新冠町中央町にある新冠町レ・コード館町民ホールにおいて、米国獣医師によるレントゲン画像の見方に関する講習会が開催された。
この講習会はNAR地方競馬全国協会の補助を受けて公益社団法人日本軽種馬協会(以下JBBA)が実施している令和6年度軽種馬経営高度化指導研修事業のひとつ。講師にはエリザベス・サンチ獣医師が招かれた。
講習会には日高や胆振の牧場関係者や獣医師など約190人が出席。講習会の開催に先立ち、主催者を代表してJBBA静内種馬場遊佐繁基場長は「本日はご多忙のところ、多数のご参加をたまわりましてまことにありがとうございます。今回の講習会は若馬の整形外科疾患の外科的治療を専門とするエキスパートであるエリザベス・サンチ先生に、豊富な臨床研究や経験に基づき、X線画像の見方についてご講演いただきます。みなさまにとって下肢部のX線画像の見方に対する理解を深める有意義な機会になることを期待しております」とあいさつした。
講師として招かれたエリザベス・サンチ獣医師は、イリノイ大学獣医学部を卒業後、フロリダ州オカラにあるピーターソン・スミス・エクワインホスピタルにて馬外科専門医としてのキャリアをスタート。約40年にわたる馬外科医としての経験を持つ。1991年以降はパデュー大学で学術界に入り、いくつかの大学で勤務。おもな関心は若齢期の整形外科学であり、その知識を深めるために20年にわたり、ケンタッキー州レキシントンやそのほかの地域で馬の個人診療所のコンサルタントをしてきた。また、実践的な整形外科研究にも積極的に取り組んでおり、査読付き論文や科学的抄録、書籍など200以上の出版物がある。3,000をこえる引用文献は妊娠雌馬の疝痛、遺伝病、整形外科的感染症、軟骨下骨嚢胞などの困難な問題を理解し、管理・治療するために開発した新しい技術に関するもので、複数の研究室と協力して、世界中で講演を行っているという。
「若齢サラブレッド競走馬における下肢部のX線画像の見方について」を演題に講演したエリザベス・サンチ獣医師は、若齢馬におけるX線画像を撮影することで、獣医師が何を見ているのか、何を読み取っているのか、そして、何を伝えているのかを説明。骨の変化、軟部組織の変化、骨片、骨折、炎症などのX線画像を示して、それぞれの画像の所見を詳しく解説した。会場からはアドバイスを求める獣医師の質問や牧場関係者の疑問にも丁寧に納得するまで対応した。