道営記念はベルピットが制し今期6戦全勝を飾る
ホッカイドウ競馬の2024年シーズンを締めくくるとともに、同競馬所属馬にとって最高の名誉をかけて争われる「第67回道営記念」(JBC協会協賛タイトルホルダー賞)が7日、門別競馬場の2,000mコースで行われ、日高町の厚賀古川牧場生産で1番人気のベルピットが、懸命に食い下がるアナザートゥルースを半馬身抑え込んで優勝。今年4月の「ゆうべつチューリップフェア特別」からの連勝記録を「6」と伸ばした。
最終的な単勝オッズは1.0倍。それもそのはずで、今シーズンはここまで4つの重賞競走を含み5戦5勝で、その合計着差は33馬身以上。ライバルと目された馬たちが対決を避けるかのように他地区への遠征を繰り返したとはいえ、まさに無双状態で連勝街道を突き進んでいた。春のコスモバルク記念、赤レンガ記念で影をも踏ませなかったシルトプレがJRA札幌開催のエルムステークス(G3)4着、JBCクラシック(Jpn1)4着なのだから、その強さは推して知るべし。まして、ここ門別競馬場では落馬競走中止の憂き目にあった昨年の道営記念を除けば10連勝中というスーパーホースだ。
これに待ったをかけようと挑戦状を突き付ける格好となったのは昨年の道営記念で大きな不利を受けながらも2着となったアナザートゥルースだった。5歳時にはJRAの「アンタレスS(G3)」優勝経験もあり、2021年チャンピオンズカップ(G1)は3着という古豪だ。10歳となった今シーズンは、かつて勝利したこともあるダイオライト記念(Jpn2)から始動して地方競馬所属馬として最先着の5着。名古屋の東海桜花賞を貫禄勝ちすると門別ではベルピットとの対戦を避けるようにして3戦して2勝2着1回。十分な余力を残したまま、このレースにピタリと標準を合わせてきた。これに続いたのは昨年の三冠すべてでベルピットの後方2着となり、今シーズンの門別競馬では5戦5勝ニシケンボブ。主戦の石川騎手が自厩舎のスコルピウスに騎乗するため、高知競馬の赤岡修次騎手を配してのエントリーとなった。
この日は時折雪が舞うあいにくの天気だったが1,500人を超えるファンが見守る中ゲートが開いた。レースを引っ張ったのは2020年のジャパンダートダービー(Jpn1)2着という実績を持つダイメイコリーダ。最初の3ハロンが37秒6で、半マイル通過は50秒8という平均ペース。2番手にはアナザートゥルースとニシケンボブ。圧倒的人気を背負っていたベルピットは、1周目スタンド前を6番手で通過。外々を回りながら、先行する馬たちを視野にいれてレースを進める。
スタンドが湧いたのはベルピットが2番手、3番手のライバルたちと馬体を併せにいった3角手前。いつもなら、ここから独走態勢となるのだが、アナザートゥルースが真っ向勝負を挑み、ニシケンボブも内ラチ沿いに食い下がる。最後はベルピットとアナザートゥルースが馬体を併せたまま直線に向き、残り200m標付近では距離経験に勝るアナザートゥルースが1度は先頭に立つと、スタンド全体が息を吞むかのような雰囲気に包まれた。しかし、ここからが絶対王者が絶対王者たる所以だ。一完歩毎に差を詰め、最後は半馬身ほどのリードをつけてゴールへと飛び込んだ。
レースを見守っていた厚賀古川牧場の古川薫社長は「生産者だから勝利を願いながらレースを見ていました。最後はヒヤヒヤしましたが、勝ててよかった。ホッとしています」と笑顔。桑村騎手も「絶対に勝たなければならないレースだったが、馬に感謝したい。本当にタフな馬です」とコメントし。管理した角川調教師は「これだけの馬を移籍させずに残してくれたオーナーの期待に応えられてほっとしている。もっと強い馬に育てて、たくさんの方に強いベルピットを見てほしい」と締めくくってくれた。