道営スプリントは1番人気スペシャルエックスが勝利
ホッカイドウ競馬の快足ナンバーワン決定戦「第19回道営スプリント」(JBC協会協賛ビッグアーサー賞)が6日、1着賞金1,000万円をかけて門別競馬場1,200mで行われた。勝ったのは日高町の増尾牧場が生産したスペシャルエックス。陣営が「課題だった」というスタートを決めたあとは楽に2番手を追走。4角で先頭に並びかけると、最後は楽に抜け出した。勝ちタイムは1分12秒1(良)。
長くホッカイドウ競馬のスプリント戦線を引っ張ってきたスティールペガサスが3連覇をかけて挑んだ1戦。しかし7歳となった今シーズンは初戦に選んだエトワール賞3着のあと、グランシャリオ門別スプリント2着。夏の特別競走を圧勝してリズムを取り戻したかと期待されたものの、ウポポイオータムスプリントもゴール前でドリームビリーバーの強襲を許して3着と消化不良のようなレースを続けてしまっていた。そんな流れを変えようと指名されたのは兵庫の吉村智洋騎手。門別競馬場で主戦の桑村騎手が手綱を譲ったのは一昨年の北海道スプリントカップ(Jpn3)以来という、まさに背水の陣での挑戦。そんなスティールペガサスに世代交代を突き付けたのが4歳馬スペシャルエックスだった。
スペシャルエックスは、春のポラリスサマースプリント優勝馬。適した条件のレースを目指して、他地区への遠征も積極的に行い2歳時には鎌倉記念2着のち兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)2着。地元の三冠競走には見向きもせずに3歳春から古馬相手に経験を積んできた。スティールペガサスとの初顔合わせとなったエトワール賞ではあっさりと突き放されたが、グランシャリオ門別スプリントで雪辱。これまで対スティールペガサスは7度の対戦では3勝4敗だが、近2走はスペシャルエックスが先着を果たしている。
そうしたライバル関係に終止符を打つべく総決算レース。台風5号の影響で中止、順延となったクラスターカップ(Jpn3)で大きく減らした体重を戻しての1戦は田中淳司調教師をして「状態もよく、自信をもってレースに挑めた」というエントリーになった。
レースでは同厩舎のクーファアチャラを先に行かせての2番手から。前半3ハロン34秒9は春のポラリスサマースプリントの35秒8に比べるとかなり速い。すぐ後ろに2番人気スティールペガサスとウポポイオータムスプリント2着のドリームビリーバーという展開。しかし、決して万全とはいえない体調のクラスターカップ(Jpn3)で地方競馬勢最先着の5着と健闘してきたスペシャルエックスは〝持ったまま〟で先頭に並びかけると最後の2ハロンは12秒3、12秒6。逃げ粘るクーファアチャラに1馬身半の差をつけて先頭でゴールに飛び込み、人気を分けたスティールペガサスは、さらに半馬身差遅れての3着だった。
「以前は2番手だと馬が気を遣うようなところもあったが、それが解消し、抜け出してからもしっかりと走ってくれた。成長を感じさせる内容でしたし、まだまだ強くなれると思う」と岩橋勇二騎手が相好を崩せば、田中淳司調教師は「競走馬として伸び盛りの4歳秋にこのような競馬ができたのは収穫。これからも全国のいろいろなレースへと挑戦させ、結果を残して帰ってきたい」と、今後の意気込みを語った。