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ブロッサムカップは1番人気ゼロアワーが重賞3連勝

  • 2024年10月29日
  • 楽に抜け出し4馬身差をつけた
    楽に抜け出し4馬身差をつけた
  • 重賞3連勝を記録した
    重賞3連勝を記録した
  • 転厩前最後の1戦らしい渾身の仕上げだった
    転厩前最後の1戦らしい渾身の仕上げだった
  • インタビューに答える吉原寛人騎手
    インタビューに答える吉原寛人騎手
  • 喜びの関係者(右から5人目が佐々木国明調教師)
    喜びの関係者(右から5人目が佐々木国明調教師)

 ホッカイドウ競馬の2歳中距離路線の総決算「第12回ブロッサムカップ(JBC協会協賛ニューイヤーズデイ賞)」が24日、門別競馬場外回りダート1,700mコース(晴、重馬場)で行われ、日高町の新生ファーム生産で吉原寛人騎乗の1番人気ゼロアワー(牝2歳、父ステッペンウルフ)が好位追走から4角手前で先頭に立ち、そのまま2着馬に4馬身の差をつけて楽勝。重賞3連勝でホッカイドウ競馬2歳牝馬の頂点に立った。なお、管理する佐々木国明調教師は、この勝利がメモリアルとなる通産200勝。ジョッキー時代にも制した重賞競走での区切りの勝利となった。

 「成長を感じるレースでした」と吉原寛人騎手が喜びを噛み締めた。ゼロアワーは4月11日の能力検定を好タイムでクリアしたときから大物と噂された逸材。その期待通りに5月15日のデビュー戦で8馬身後方に置き去りにした2着馬が、のちにブリーダーズゴールドジュニアカップとサンライズカップで2着するソルジャーフィルドだった。しかし、続く栄冠賞は最後の1度は先頭に立つもゴール前で力尽きて3着。雪辱を期したリリーカップはゲートで何度も立ち上がるなどレース前の消耗が激しく伸びを欠いた。

 もし負ければ、もうあとはないフルールカップはゲートインにやや時間がかかり周囲をやきもきさせたが、すんなり2番手をキープすると吉原寛人騎手のゴーサインに応えて重賞初勝利。

 すると陣営が向かった先はコーナーを4回まわるフローラルカップ。この時は不敗のイイデマイヒメ、距離実績があるゴーゴーイーグルスに人気を譲ったが、手綱を託された岩手の山本政聡騎手は「吉原さんから詳しく(馬のクセを)教えてもらった」と、距離延長をあっさりとクリア。テン乗りを感じさせないレースぶりで、さすが一流ジョッキーは一流ジョッキーを知るということか。

 そうして迎えたブロッサムカップ。中間、再能力検査(ゲート再審査)があったもののメンバー的にフローラルカップの再戦ムードという声もあって、この日の単勝オッズは1.2倍。堂々1番人気での出走となった。

 この日、レースを引っ張ったのは未勝利戦を勝ち上がったばかりながらも、ここまで8戦とキャリア豊富なヴィトーリアヘーザ。やや躓き気味のスタートとなったこともあって金山昇馬騎手が無理に抑え込まずに前へ行く。2番手には前走の一般戦を逃げ切って2勝目を記録したアナザーメイトが続き、勢いよくゲートを飛び出したゼロアワーは吉原寛人騎手ががっちとりと手綱を抑えて3番手。前走のフローラルカップで逃げたイクスクローバーが末脚勝負に切り替えたこともあってペースが上がらず、結果的にはフローラルカップと似たような流れになった。半マイル通過は52秒9で、前半1,000m通過が65秒8。

 レースが動いたのは3角手前。後方で息を潜めていたイクスクローバーがポジションを上げて前を射程圏内に置くも、前半に楽をしていたため前を行く馬も余力十分。逆に苦しくなる。そうなれば、吉原寛人騎手がどこで仕掛けるかだけが焦点となるが「(内回りコースから外回りコースへとかわり)直線が長くなる分、集中力が心配だった」とレース後に話したようにギリギリまで抑えられた手綱が解き放たれると一気に後続を突き放した。主催者発表による後半3ハロンは12秒9、12秒6、12秒4という加速ラップをゴール前は流したまま記録した。

 「今回は枠順にも恵まれたが、馬も成長して力をつけていると思う。ゲートは落ち着かせる練習をしてきた成果が出たと思う」と佐々木国明調教師。今後については「南関東へと転厩する予定」だという。「他を寄せ付けないような脚を使ってくれたので、これからも楽しみだと思う」とエールを送っている。