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ジェイエス繁殖馬セールが開催される

  • 2024年10月28日
  • 最高価格はダイワエルシエーロ産駒ハルワタート
    最高価格はダイワエルシエーロ産駒ハルワタート
  • 5,500万円で取引されたハルワタート
    5,500万円で取引されたハルワタート
  • 高額第2位で取引されたトラミナー
    高額第2位で取引されたトラミナー
  • 未供用馬の最高価格ナギサ
    未供用馬の最高価格ナギサ
  • 2,090万円で取引されたナギサ
    2,090万円で取引されたナギサ

 (株)ジェイエスが主催する「繁殖馬セール」が10月23日、北海道新ひだか町の北海道市場で開催された。

 このセールは1979年にスタート。以来、40年以上にわたって血統の更新、牝馬の流通という役割を担い、その取引馬の中から天皇賞馬マイネルキッツや三冠牝馬デアリングタクト、あるいは2024年東京ダービー優勝馬ラムジェットや南関東不敗の三冠馬ミックファイアなど多くの活躍馬が生まれている。

 今回は3歳の未供用馬から、10頭の産駒を身ごもっている20歳の繁殖牝馬まで218頭が上場。セール当日は前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、激しい雨と風に見舞われる中での開催となったが、会場はそれらを吹き飛ばすような活発な市場が展開され、うち158頭(受胎馬128頭、空胎馬30頭)が取引された。

 上場頭数は前年比37頭増で、売却頭数は前年比27頭増。売却率は0.1ポイント増の72.5%で、総売上の 855,140,000円 (税込)は、前年を128,183,000円上回った。

 もっとも高額で取引されたのは2004年のオークス馬ダイワエルシエーロ直仔のハルワタート(8歳、父ロードカナロア)。日高町の下河辺牧場が1989年に米国ファッシグティプトン社の繁殖牝馬セールで購入したオールフォーロンドンにさかのぼり、祖母のロンドンブリッジは桜花賞(G1)2着。菊花賞馬キセキや種牡馬として成功しているグレーターロンドンなども同じファミリーになり、ハルワタート自身はJRA2勝馬。第2仔となるマインドユアビスケッツの産駒を受胎して上場されると、会場内の多くから声がかかり最終的には55,000,000円で社台ファームによって落札された。

 その模様を見ていたという新ひだか町のある生産者は「以前であれば、門外不出と言われたような血統馬。その本流が上場されたことに以後があると思う。時代が確実に変わってきていることを実感した」と感想を漏らした。

 高額第2位は日経賞(G2)など重賞3勝シャケトラの半妹トラミナー(4歳、父サトノダイヤモンド)。セレクトセール出身の同馬はJRAで2着2回3着2回。6度出走し、1度も掲示板を外さなかった堅実派だ。門別競馬で初勝利を記録したあと、初仔となるラブリーデイ産駒を受胎してのラインナップだった。こちらは浦河町の高昭牧場が37,400,000円で落札した。

 なお、空胎馬では平地2勝のち障害に転向して3勝。昨年の小倉サマージャンプ(JG3)2着、牛若丸ジャンプS3着で、京都ジャンプS(JG3)で1番人気に支持(5着)されたナギサ(6歳、父フェノーメノ)。セール全体では高額第8位となる20,900,000円で新ひだか町の岡田スタッドが落札した。

 セール終了後、主催した(株)ジェイエスの服部社長は「上場頭数が増えて、売却率が落ちなかったのは嬉しい限り。このせりは、日高軽種馬農協ほか関係団体の協力のもと成り立っていますので、改めて御礼申し上げるとともに、悪天候の中で足を運んでくれた購買者。大切な繁殖牝馬を上場いただいた販売者の方々に感謝したい」とコメントした。次回は2025年1月22日に冬季繁殖馬セールが開催される。