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グランシャリオクイーンズはサンオークレアが勝利

  • 2024年10月23日
  • 気力が充実した表情でパドックを回るサンオークレア
    気力が充実した表情でパドックを回るサンオークレア
  • 最後は力強くゴールを駆け抜けた
    最後は力強くゴールを駆け抜けた
  • インタビューに答える石川倭騎手
    インタビューに答える石川倭騎手
  • サンオークレアにとっては2つめの重賞タイトルとなった
    サンオークレアにとっては2つめの重賞タイトルとなった
  • 記念すべき初代女王に輝いたサンオークレアの関係者
    記念すべき初代女王に輝いたサンオークレアの関係者

 今年から設けられ、カウントアップチャレンジの「カウントアップ・レディス」最終戦に位置付けられた「第1回グランシャリオクイーンズ(H3、JBC協会協賛ウエストオーバー賞)」が門別競馬場ダート1,700mで行われ、中団から脚を伸ばした石川倭騎手騎乗の1番人気サンオークレア(牝5、北海道・五十嵐冬樹厩舎)が、2着ポルラノーチェに1馬身1/2差をつけ優勝して、1着賞金500万円を手中にした。勝ちタイムは1分49秒2(良)。石川倭騎手の重賞勝利は7月のリリーカップに続く重賞勝利で通算47勝目。五十嵐冬樹調教師にとっては春のヒダカソウカップに続き、通算2つめの重賞タイトルとなった。

 サンオークレアは父バンブーエール、母デンジャーマネー(その父マンハッタンカフェ)という血統。日高町の(株)加藤ステーブルの生産馬で、通算成績は29戦13勝2着4回3着3回(JRA5戦含む)。

 新設重賞とはいえホッカイドウ競馬に所属する牝馬ナンバーワン決定戦ともいうべき1戦を制したのは、南関東から再転入後、地元馬には先着を許していないサンオークレアだった。

 スタートは互角だったが、圧倒的な人気を背負っていたサンオークレアは徐々に下がっての後方待機はマイポジション。「前半のポジションは考えておらず、馬に任せていた」とは手綱を取った石川倭騎手。一方で、先手を取りに行ったのは前走の「コントレイル・プレミアム」で逃げて5着とやや復調気配を感じさせたウワサノシブコ。2歳時にはイノセントC4着で、ブロッサムカップ5着。3歳春にはユングフラウ賞を制した実力だ。前半3ハロンの推定タイムが39秒0で半マイル通過が推定51秒6だから、春に行われた3歳牝馬限定「フロイラインカップ」(同37秒1、同49秒4)に比べるとゆったりしたペースで残り8頭を引っ張る展開。2番手には、JRA未勝利から転入して「フロイラインカップ」を勝った実力牝馬のポルラノーチェ。落合騎手ががっちりと手綱を抑えたまま追走し、3番手には3番人気のスギノプリンセス。こちらも2歳時にはブロッサムカップに勝ち、JBC2歳優駿(Jpn3)に駒を進めた実力馬だ。有力馬が楽をしながら先行し、ペースは向こう正面に入っても12秒5、12秒7と変わらない。現役ジョッキー時代、数々の修羅場をくぐってきた五十嵐冬樹調教師をして「落ち着いた流れになったので、ヒヤヒヤしていた」とレース後は苦笑いしていたそうだが、石川倭騎手は「最後は必ず良い脚を使ってくれる馬なので、それを信じていました」と自信たっぷりに後方3番手で向こう正面を通過する。

 レースが動いたのは向こう正面なかば過ぎ。後方に待機していたサンオークレアが外を回りながら進出を開始すると、2番手にいたポルラノーチェがウワサノシブコを交わし、先頭で4角を回って差を広げる。

 「コーナーでやや鈍くなる」(五十嵐冬樹調教師)というサンオークレア唯一のウィークポイントを付く落合騎手のファインプレーだったが「直線に向いての手応えは良かった。交わせると思った」というサンオークレアが残り100mほどの地点から力でねじ伏せるようにして先頭でゴールへと飛び込んだ。最後は手綱を緩めたためにややラップを落としたが、それでもゴール前3ハロンのレースラップは12秒7、12秒8、13秒1。サンオークレアの強さばかりが目立った1戦でもあった。

 次走について五十嵐冬樹調教師は「オーナーサイドと相談して」と明言を避けたが、「これだけの馬だから、とにかく無事に」と石川倭騎手が期待を寄せるサンオークレアの活躍を期待したい。