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フローラルカップはゼロアワーが重賞2連勝

  • 2024年10月01日
  • 2着馬に6馬身差は現行条件となってから2番目の大差だった
    2着馬に6馬身差は現行条件となってから2番目の大差だった
  • 門別競馬場での重賞初勝利を噛みしめる山本騎手
    門別競馬場での重賞初勝利を噛みしめる山本騎手
  • 父ステッペンウルフに大きなプレゼントを贈ったゼロアワー
    父ステッペンウルフに大きなプレゼントを贈ったゼロアワー
  • 山本政聡騎手は重賞62勝目
    山本政聡騎手は重賞62勝目
  • 佐々木調教師(左から8人目)は重賞2勝目
    佐々木調教師(左から8人目)は重賞2勝目

 上位2着馬までには10月24日に門別競馬場で行われるブロッサムカップへの優先出走権が付与される2歳牝馬限定重賞「第24回フローラルカップ(JBC協会協賛ダノンプレミアム賞)」が9月19日、門別競馬場ダート1,600mコースで行われた。

 勝ったのは岩手県の山本政聡騎手騎乗の3番人気ゼロアワー。距離延長に不安の声がささやかれる中、前走フルールカップに続く重賞2連勝で一躍トップヒロインの座を大きく手繰り寄せた。

 レース前、人気を集めたのは7月のフレッシュチャレンジ、そして8月のサッポロクラシックCを連勝してきたカリフォルニアクローム産駒のイイデマイヒメだった。3月の能力検査、7月のデビュー戦では天賦の才とも言うべきスピードを前面に押し出した競馬だったが前走のサッポロクラシックCは後方待機策からの大外一気。今回は直線が短い内回りコースに変わるものの「いつも真面目に走ってくれる馬で、距離に対する融通性はあるはず」と村上調教師は自信を持って送り出した不敗の重賞ウィナーはオッズ2.5倍という人気を集めた。差がない2番人気は内回りマイルコースで2戦2勝。前走のアタックチャレンジ競走では後続に6馬身の差をつけて2勝目を挙げたゴーゴーイーグルス。イイデマイヒメと同じカリフォルニアクローム産駒ながら、こちらは母ヨウヨウが2004年フローラルC(当時は旭川競馬場で施行)の勝ち馬で、母仔同一重賞制覇の期待がかかる1戦。デビューから石川倭騎手が手綱を取り続けているというのもセールスポイントとなり、オッズは2.9倍の2番人気。フルールCを勝って意気上がるゼロアワーはゲートの中で落ち着きがない馬だけにスタンド前発走、そして前走後に佐々木調教師が「エーデルワイス賞(G3)を視野に入れながら調整したい」と話していることから距離延長に一抹の不安を抱えてのエントリーだった。オッズは5.3倍。

 一斉のスタートから、1周目ゴール板を先頭で通過したのはゼロアワーだったが、内から桑村騎手騎乗の4番人気イクスクローバーも行く気を見せ、コーナーワークを利してイクスクローバーが先手を奪う。

 結果的には「外目の枠を引き当ててくれたので、揉まれない2-3番手で」というゼロアワー陣営が戦前に描いてとおりの展開となった。最初の2ハロンは12秒8、11秒5だったが、中盤に入ると13秒3-13秒6とペースは上がらずペース判断に長けた阿部騎手のイイデマイヒメが3番手で、こうしたペースにしびれを切らしたかのように石川倭騎手騎乗のゴーゴーイーグルスが向こう正面に入ると一気にポジションをあげて、イイデマイヒメとともに前を射程圏内に置く。

 レースが動いたのは内回りコースの3~4角中間地点。2番手を進んでいたゼロアワーがイクスクローバーを交わして先頭に代わると、外からゴーゴーイーグルスが差を詰めるも「直線に向くと、馬に気持ちが入った」と山本政聡騎手。一気に後続との差を広げて先頭でゴールへと飛び込んだ。

 前半3ハロンが37秒6で、半マイル通過は51秒2。最後の3ハロンは13秒6、13秒2、13秒0とゴールまで加速ラップが続くというペースをしっかりと読み切った陣営の勝利だった。

 「(前走、前々走と手綱を取った)吉原騎手からクセを聞いた。初めての距離だったが、強い競馬だったと思う」と山本政聡騎手。佐々木調教師は「期待以上の走りを見せてくれて嬉しい。3コーナーから動き始めたときに勝てると思った。これでレースの選択肢が広がった」と喜びを噛みしめていた。