ブリーダーズゴールドカップはオーサムリザルトが勝利
真夏のダート女王決定戦「第36回ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)」が8月27日、北海道の門別競馬場で行われ、単勝オッズ1.1倍という圧倒的人気を集めた武豊騎手騎乗のオーサムリザルトが道中3番手から4角手前で先頭に立ち、そのまま後続を突き放し2分4秒0のタイムで先頭ゴールイン。5月のエンプレス杯(Jpn2)に続くダートグレード勝利で、一昨年11月のデビューからの連勝記録を「7」とした。
「このレースの結果次第では、米国ブリーダーズカップへ」。レースの焦点は、500kgの馬体から繰り出すパワーとスピードを武器に不敗の快進撃を続けるオーサムリザルトが、2021年マルシュロレーヌが切り拓いた道へと進めるか。その1点といっても過言ではなかった。
前走後、短期放牧を挟んで7月下旬に栗東トレセンへと帰厩。水口騎手を背にウッドチップで1週前追いきりをびっしりとやったのち札幌競馬場へと移動し、最終追いきりは本馬場の芝コースで馬ナリのまま最後1ハロンは11秒4。「前走のエンプレス杯(Jpn2)から少し間隔が空いていたけれど、状態は良いと聞いていましたのでレースが楽しみでした」と武豊騎手がレース後に話していたように、この日の馬体重はプラス11kgの498kg。デビュー2戦目の500kgから、レースを使うごとに減ってきた馬体重も戻り、ほぼ完璧な状態でのエントリーとなった。
しかし、オーサムリザルトはデビューから前走のエンプレス杯(Jpn2)までの6戦で良馬場発表がたった1度という〝雨女〟。この日も 台風10号の影響で、舞台となる門別競馬場は朝から雨で馬場状態は不良。このレースが不良馬場で行われるのは一昨年(優勝馬グランブリッジ)以来で、36回目となる歴史の中で6回目。牝馬限定世戦となった2014年以降では3回目。しかし、第1レースが始まる頃はコース全体に水が浮くような状態だったがクッション性と排水性に優れているという白い砂は、雨さえやめば表面上の水を流してくれる。
レースはJRA3勝クラスを勝ち上がったばかりのシダーが引っ張り形で始まった。2番手にはダート転向後3連勝のち総武S 2着、兵庫女王盃(Jpn3)3着の2番人気サーマルソアリングが続き、1周目ゴール前ではデビューから3連勝を記録していたデリカダも前を伺い、これらを見るようにオーサムリザルトとウワサノシブコ。前半2ハロンは23秒3でポジションが落ち着こうというところコーナーワークを利してシダーがリードを広げて前半1,000mは60秒8というハイペース。そうなれば、ついてこれる地元馬はなく、徐々に馬群が伸びていく中、2番手にはサーマルソアリングで、その外3番手にオーサムリザルト。やや離れた4番手でデリカダとドライゼが追うような展開。
レースが動いたのは3角手前「向こう正面で自分から行かなかったので、少し気合を付けたらぐんと加速した」と進撃を開始。「こんな馬場は初めてでしたが、まったく問題はなかった」と武豊騎手が言うように外をまわりながら先頭に並びかけたオーサムリザルトが早めに前を飲み込むと、そのまま先頭に躍り出ると最後の2ハロンは13秒1、12秒8。「最後までしっかりと走ってくれた」と加速ラップでまとめて後続を突き放した。
5馬身差の2着には前半から流れに乗ったデリカダが粘り、さらに1馬身差3着には早めに進出した南関東のドライゼが地方競馬最先着を果たし、地元のサンオークレアは出走メンバー最速の上りタイムを繰り出すも4着まで追い上げるのが精いっぱいだった。
「(オーサムリザルトは)レース前にイレ込むことがあるが、いつもに比べると落ち着きがあって、最後まで楽だった」と武豊騎手。この秋はベルリン大賞(G1)を勝ったアルリファーでの凱旋門賞(G1)への挑戦が決まっており、世界をまたにかけた忙しいシーズンになりそうだ。