馬産地ニュース

北海道スプリントカップはチカッパが重賞初制覇

  • 2024年08月22日
  • メンバー最速の末脚で突き抜けたチカッパ
    メンバー最速の末脚で突き抜けたチカッパ
  • 武豊騎手は国内重賞501勝目
    武豊騎手は国内重賞501勝目
  • 前走から21kg増の馬体で登場した
    前走から21kg増の馬体で登場した
  • 北海道スプリントC(Jpn3)4勝目の武豊騎手
    北海道スプリントC(Jpn3)4勝目の武豊騎手
  • 中竹調教師(左端)は重賞30勝目
    中竹調教師(左端)は重賞30勝目

 昨年まではホッカイドウ競馬を代表する3歳以上馬による短距離王決定戦だったレースだが、全国的なダート競馬の競走体系の整備により、3歳馬限定のスプリント王決定戦として生まれ変わった第28回北海道スプリントカップ(Jpn3)が、8月15日、門別競馬場のダート1,200mコースで行われた。この舞台は、スピードだけは乗り切れない、タフなコース。地元の精鋭に加えて、JRAから4頭の参戦があったほか他地区から挑む馬もいて頭を悩ませるメンバー構成となった。

 レースを引っ張ったのはホッカイドウ競馬が誇る快速オスカーブレイン。この日の単勝オッズは9番人気の234.8倍だったが、デビューから1度もハナを譲ったことがなく、前走は岩手競馬に遠征してハヤテスプリントを快勝したスピードスターが12秒3、10秒8とレースを引っ張る。古馬を相手に影をも踏ませぬ3連勝で、オッズ1.9倍の1番人気に支持されたエスカル、兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)を逃げ切ってオッズ3.1倍の2番人気エートラックスがこれに続き、地元の雄トラジロウは好スタートを切ったブービー人気リコーシャーマンを交わしながら、これらを追いかける展開。過去3勝すべてを逃げ切り勝ちで記録しているジョーローリットはインコースの5-6番手で、遠征したラブミーチャン記念など重賞3勝の牝馬ヴィヴィアンエイトがほぼ並ぶような位置。

 兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)2着で3番人気チカッパは後方で息をひそめ、南関東の優駿スプリントでスプリンターとしての素質を示した5番人気ティントレットは、後方2-3番手を進む。

 レースが動いたのは3角過ぎ。快調に逃げるオスカーブレインにエートラックスが襲い掛かり、内からエスカル、外からヴィヴィアンエイトも差を詰め、「前半、砂を被って嫌がる素振りを見せたので、どこかで外に出したかった」とレース後に武豊騎手が語ったチカッパも外を回りながら先行集団を射程圏内にとらえる。

 4角を回って先頭に躍り出たのはエートラックス。鮫島騎手のゴーサインに応えるように1馬身、2馬身と差を広げるが、大外を回ったチカッパが1頭だけまったく違う脚色でエートラックスを呑み込み、最後は流すような余裕も見せて優勝。勝ちタイムは1分12秒6だった。3着には直線勝負にかけたティントレットが入り、先行集団で見せ場を作ったヴィヴィアンエイトが地元最先着の4着となった。

 管理する中竹和也調教師は「この馬に適したレースがなく間隔が空いてしまったが、ここを目標に良い状態でレースに臨むことができました。今日は強い内容だったと思いますが、まだ成長の余地を多く残しているので楽しみです」とレース後のインタビューに答えた。

 勝ったチカッパは、新ひだか町の株式会社サンデーヒルズ生産馬。この勝利で通算成績は11戦4勝2着5回(重賞1勝)としている。手綱を取った武豊騎手は7月のプロキオンS(G3)(優勝馬ヤマニンウルス)に続く重賞勝利で国内重賞通算501勝目。中竹和也調教師は30勝目の国内重賞勝利となった。