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王冠賞はプラセボが重賞初制覇

  • 2024年08月07日
  • ホライゾネットを着用している
    ホライゾネットを着用している
  • 2強を力でねじ伏せた
    2強を力でねじ伏せた
  • 3冠最後の1戦を制したプラセボ
    3冠最後の1戦を制したプラセボ
  • 重賞初勝利を門別競馬場で記録した小杉騎手
    重賞初勝利を門別競馬場で記録した小杉騎手
  • 最低人気での快走に笑顔の関係者
    最低人気での快走に笑顔の関係者

 ホッカイドウ競馬の3歳3冠競走最終戦、競馬ブック杯「第45回王冠賞」(JBC協会協賛サトノクラウン賞)が8月1日、門別競馬場ダート1,800mを舞台に行われた。

 戦前の予想は春の2冠を分け合ったパッションクライとブラックバトラーの一騎打ちというのが大方の予想だった。

 単勝オッズ1.9倍という1番人気のパッションクライは北海優駿の優勝馬。先行力を武器に2歳時にはサンライズカップに勝ち、JBC2歳優駿(Jpn3)でも最後は力尽きたものの4角先頭で見せ場を作った。その先行力から内回りコースで行われる北斗盃は1番人気の支持されたもののキタサンヒコボシが作った半マイル通過が49秒9というハイペースを追いかけ、最後はブラックバトラーの強襲を許してしまった。逆に2番人気に甘んじてしまった北海優駿は積極的にハナを奪い、半マイル通過が51秒1で、前半1,000mが65秒2というスローペースに持ち込んでライバルを封じ込めた。

 一方、ブラックバトラーは強烈な末脚が武器。2歳8月のブリーダーズゴールドジュニアCに勝ち、サンライズカップはパッションクライの2着。しかし、JBC2歳優駿(Jpn3)ではライバルに先着している。年が明け、北斗盃はマクリ一発でライバルをねじ伏せたが、北海優駿はメンバー最速の末脚で追い込んだもののわずかに届かなかった。この両馬は、ここまで5度顔をあわせているが、その対戦成績はパッションクライが3勝2敗と一歩リードしているが、その差はいつも僅か。オッズは2.0と差のない2番人気の支持を得ていた。

 レースのカギを握っているのはオッズ8.9倍の3番人気キタサンヒコボシ。北斗盃でハイペースを演出した同馬は、北海優駿を自重してその後は古馬を相手とした短距離レースで勝利を記録したあと3歳馬限定1,800mの七夕オープンを快勝してのエントリーだった。

 注目の先行争い。ゲートが開いてブラックバトラーが行くような素振りも見せたが、ハナを主張したのはパッションクライだった。桑村騎手ががっちりと手綱を抑えたままレースを引っ張る。これに、前走で古馬相手に圧巻の逃げ切り勝ちを収めた最低人気プラセボが続き、キタサンヒコボシは3番手。半マイル通過が52秒4だったから北海優駿よりもさらに遅いペースで各馬が一団となって進む。向こう正面に入ると桑村騎手がペースを上げて、1,000mを64秒7で通過するも3角手前で再びペースダウン。こうした流れにしびれを切らしたかのように落合騎手が手綱を取るブラックバトラーが外から押し上げで先行集団へと並びかけて4角をまわる。

 最内に1番人気のパッションクライ、大外に2番人気ブラックバトラー、そして真ん中に最低人気のプラセボがまったく譲る気配なく直線へ。その中で最初に脱落したのは1番人気パッションクライで場内がざわつく。ブラックバトラーが一度は先頭に立ったかに見えたが、内で食い下がるプラセボがしぶとく足を延ばして1分56秒1で真っ先にゴールへと飛び込んだ。

 勝ったプラセボは父インカンテーション、母ベルガマスク(その父ネオユニヴァース)という血統で、日高町サンシャイン牧場の生産馬。

 昨年5月にホッカイドウ競馬からデビューし7戦を消化したものの認定競走に勝つことができないまま3歳となり、北海優駿は6着。前走C4クラスを逃げ切っての重賞挑戦だった。通算成績は11戦4勝2着2回3着2回。

 これが騎手デビュー15年目の重賞初勝利となった小杉亮騎手は「4角で実績のある馬たちに並ばれたときはダメかと思ったけれども、そこから馬が気持ちを切らさずに頑張ってくれた」と相好を崩し、米川調教師は「気分よく行けたことで、持ち味を発揮することができた。正直驚いている」と愛馬の快走に感心しきりだった。