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旭岳賞はベルピットが勝利で重賞3連勝

  • 2024年08月07日
  • 500kgを超える充実の馬体でパドックを周回した
    500kgを超える充実の馬体でパドックを周回した
  • 全国でもトップレベルの走りを披露した
    全国でもトップレベルの走りを披露した
  • あっという間に後続を引き離して堂々先頭ゴールイン
    あっという間に後続を引き離して堂々先頭ゴールイン
  • カウントアップM3連勝したベルピット
    カウントアップM3連勝したベルピット
  • 角川秀樹調教師にとっては127個目の重賞タイトル
    角川秀樹調教師にとっては127個目の重賞タイトル

 11月に京都競馬場で行われるマイルチャンピオンシップ(G1)の北海道地区ブロック代表馬選定競走として指定されているホクレン杯「第10回 旭岳賞」(H3、JBC協会協賛ゴールドドリーム賞)が7月31日、門別競馬場ダート1,600mで行われた。

 カウントアップチャレンジ(ミドル・マイル)の第3戦にも指定されている同レース。8頭立てとはいえレース前から、大方の予想は昨年のホッカイドウ競馬三冠馬で同シリーズの初戦「コスモバルク記念」、2戦目の「赤レンガ記念」をいずれも6馬身差で連勝している日高町、厚賀古川牧場生産で北海道市場取引馬ベルピットの1強ムードだった。内回り戦は昨年5月の北斗盃以来ではあったが、管理する角川調教師は「前進気勢の強い馬。内回りの方がペースが速くなるので、向いているのではないか。とくに心配はしていません」と涼しい顔。もちろん、多くのファンも落馬競走中止の憂き目にあった道営記念をのぞけば門別競馬場で6連勝中という同馬の強さを疑うものは少なく、最終的な単勝オッズは1.0倍。

 そんなファンが2番人気に支持したのは、もうすでに勝負付けが済んでいると思われる馬たちではなく、これがベルピットと初顔合わせになる佐賀競馬所属のアイリッシュセンスだったという事実も、他陣営のお手上げムードを代弁していた。アイリッシュセンスは米国産でJRAの2勝馬。佐賀競馬で重賞勝ちこそないが、長くトップクラスで安定した成績を残している馬だ。この日手綱を取る石川倭騎手は、期間限定で佐賀競馬場に所属していた際、同馬に騎乗経験があり、力強いサポート役となっていた。しかし、その単勝オッズは14.1倍だったのだから、その数字からも圧倒的な支持を得ていたかがわかる。

 そして、一昨年の星雲賞優勝馬で、昨年の旭岳賞2着と内回りコースを得意にしているグリントビートがオッズ15.8倍で続き、4番人気以下は20倍を超えるオッズとなっていた。

 ゲートが開いて、真っ先に飛び出したのは、松井伸也騎手が手綱を取ったJRA3勝クラスの転入2戦目ジャスパードリームだった。12秒9、11秒6、12秒と飛ばし、最初の3ハロンは36秒5で、半マイル通過は48秒9。後続を5馬身以上引き離しての、文字通り〝捨て身の逃げ〟を打ち、2番手で落合玄太騎手騎乗の重賞初挑戦エバニスタがこれを追う展開。2頭にとっては何とか活路を見出そうという戦法だったが、これは「ペースが遅いとかかるところがある」(角川調教師)というベルピットにとっては、むしろ好都合。桑村騎手も「スタートして、やや力むところもありましたが、すぐに折り合いもついた」とニンマリという結果となった。

 前半1,000mを61秒7で通過して場内を沸かせたが、さすがにこのペースでは苦しくなる。内回りコース勝負どころ3角手前でペースが落ちたところ、ベルピットが前を行く馬を一気に飲み込み先頭に立つと、それを追う馬はもうなく、前2走に続いて後続に6馬身差。2着には1角を最後方で回ったドテライヤツが2着に追い込み、グリントビートが3着。ベルピットの強さばかりが目立つ1戦となった。

 レース後、桑村騎手は「ゲートを心配していたが、無事に出てくれた。前の馬を交わしたあとは馬が遊んでしまったが、無事に勝てて良かった」と安どの表情でレースを振り返り笑顔でインタビューに答えた。

 なお、勝ったベルピットには秋に京都競馬場で行われるスワンステークス(G2)、または東京競馬場の富士ステークス(G2)への優先出走権を獲得したが、角川調教師は「今シーズンの最終目標は道営記念。それまで体調管理に気を付けたい」と今後の目標を口にしている。