リリーカップはリオンダリーナが重賞初制覇
ダートグレード競走「エーデルワイス賞(Jpn3)」を頂点とするホッカイドウ競馬の牝馬短距離重賞戦線の幕開けを告げる「HTB杯第21回リリーカップ」(JBC協会協賛ホットロッドチャーリー賞)」が7月25日、ダート1,000mを舞台に行われた。
7頭立てと、やや寂しい頭数になったものの人気の中心は1,000m戦で2戦2勝のリオンダリーナ。3月の能力検定は石川騎手らしく前に馬を見るような位置で我慢させ、最後の直線で口向きの悪さを見せると無理をせずそのまま流れ込むように2位入線。しかし、実戦になればモーニン(昨年のNAR2歳チャンピオンサイアー)×エイシンデルフィー(JRAダート1,400m新馬勝ち)という血統どおりの走りを見せてきた。管理する小国博行調教師は「逃げ切りで2連勝だが、まったく異なる内容で1,000mを連勝してきた。これは簡単に出来ることではなく価値は高い」と話していたようにデビュー戦のラップはゲートから12秒6、12秒4で、2戦目のウィナーズチャレンジは11秒9、11秒8。終わってみれば、いずれのレースも60秒台でまとめ、高いスピード能力を示してきた。直前の坂路調教でも序盤から飛ばして3ハロン35秒3、最後1ハロン12秒5としっかり負荷をかけられて自信のエントリーだった。オッズは1.3倍。
2番人気はダート1,100mのフレッシュチャレンジを8馬身で勝ち上がり、栄冠賞3着の実績を持つゼロアワーのオッズ3.5倍。これに続いたのは1戦1勝ながら能力検査の段階から高い能力を垣間見せ、5月のデビュー戦でその期待通りの走りを見せていたジャイヴトークで、オッズは6.1倍。少頭数競馬ではあったものの4番人気ボディコンシャスが30倍を超えるオッズだっただけに、ほぼ1強で2着争いという図式となっていた。
圧倒的人気を背負っていた石川騎手は「ほかに行く馬がいれば控えても良いと思っていた」というが抜群のスタート。外から栄冠賞でも果敢に先行したボディコンシャスが並びかけてテンから11秒7、11秒6というハイラップが刻まれたが、それでも「道中は楽でしたし、余裕を持って4角を回ることができました」と、後続に影すら踏ませずに先頭でゴール板を駆け抜けた愛馬を称えた。価値タイムは1分0秒5。やや離れた3番手を追走していたゼロアワーは初めて経験するペースに手応えを失い、最後は後方で息を潜めるように追走していたジャイヴトークが追い込むも1馬身半差の2着。ほかに追い込める馬はなく、先行したボディコンシャスが2着馬から6馬身差の3着となった。
レース後、石川騎手は「距離が延びてどうかという課題は残りますが、良いスピードと高いポテンシャルを持った馬です。それを生かせるように心がけたい」と笑顔でレースを振り返り、小国調教師は「ゲートを無事に出たときに勝利を確信した。この馬の武器はスピード。今後のローテーションは未定だが、最終的にはエーデルワイス賞(Jpn3)を目標にしたい」と意気込みを語った。
勝ったリオンダリーナは浦河町の高村牧場生産馬。この勝利で通算成績を3戦3勝とした。