ポラリスサマースプリントはスペシャルエックスが勝利
3歳以上のスプリンターたちによるホッカイドウ競馬の新設重賞「第1回ポラリスサマースプリント(JBC協会協賛シャンハイボビー賞)が7月17日、門別競馬場ダート1,200mを舞台に行われた。
9頭立てで行われたこのレース。戦前の予想は7歳の古豪スティールペガサスと、4歳馬スペシャルエックス、そして5連勝中の6歳馬ジャスパーメジャーによる三つ巴戦だった。
1番人気スティールペガサスは昨年、一昨年と道営スプリントを連覇したホッカイドウ競馬を代表するスプリンター。そのスピード能力は昨年の6月に行われた北海道スプリントカップ(Jpn3)でJRA勢に交じって3着していることからも証明している。一瞬の切れ味を武器とするが、7歳となった今シーズンは積極的に先行してエトワール賞3着、グランシャリオ門別スプリント2着。逃げ、先行馬が顔を揃えた今回は、この馬らしい競馬を期待されていた。オッズは2.9倍。
この馬に挑む形になったのはイノセントCの優勝馬スペシャルエックス。昨年はグランシャリオ門別スプリントを勝ったのちクラスターC(Jpn3)、楠賞(園田)、兵庫ゴールドトロフィー(Jpn3)と他地区を遠征。今回は5月のオグリキャップ記念8着以来のレースとなるが、送り出す田中調教師は「ダメージはない」とエントリーしてきた。ここは1番人気に支持されながらも期待を裏切ってしまったエトワール賞の雪辱戦的意味合いを含んでの1戦となっていた。オッズは3.2倍。
差がない3番人気に支持されたのは、約2年ぶりの重賞挑戦となるジャスパーメジャー。門別競馬場では過去17戦して11勝。5着以下が1度もないという堅実派。逃げても逃げなくても競馬ができる自在性が評価されてオッズは3.5倍に推されていた。これらに続くのは昨年の道営スプリント2着のドウドウキリシマ。移籍した高知競馬では思うような結果を残せず、復帰初戦のエトワール賞は不良馬場に泣かされたような結果となったが、その後条件で好走を続けてのエントリーとなった。オッズは8.2倍。
スタートは外のジャスパーメジャーが1番速かったが、韋駄天イッツクールの逃げで始まった。最初の1ハロンは12秒5で、その後は11秒1、12秒2と後続を離しての逃げ。やや離れた2番手にはスペシャルエックスがいて、マークするように外にドウドウキリシマ、内にスティールペガサスが続く。場内がざわついたのは勝負どころの3~4角。人気を背負ったスティールペガサスのポジションが下がり、桑村騎手の手が激しく動く。逆にぽっかりと空いた内ラチ沿いにポジションを上げたのは後方3番手に位置していた石川騎手のドウドウキリシマ。4角を先頭で回ったのはイッツクールだったが、内からドウドウキリシマ、外からスペシャルエックス。さらにその外からはジャスパーメジャーが差を詰め、追い通しのスティールペガサスも優勝争いに加わってくる。人気上位4頭による追い比べに場内外のボルテージが上がるも、そこから力強く抜け出したのはスペシャルエックスだった。最後は岩橋騎手が手綱を緩めるようにして1分12秒7、1馬身半差の2着にはドウドウキリシマが入って、ジャスパーメジャーが3着。スティールペガサスは見せ場を作るのがやっとの4着だった。
スペシャルエックスは日高町の増尾牧場生産馬。この勝利で通算成績を16戦6勝として3つめの重賞タイトルとなった。
レース後、岩橋騎手は「スタート直後は少し力んだけれども、すぐに抜けてくれた。2番手からの競馬で勝てたのは収穫。まだ強くなってくれると思う」と笑顔でレースを振り返り、田中調教師は「逃げなくても競馬ができるように普段の調教から心掛けた。レースの選択肢が広がったころで楽しみになる」と次走クラスターカップ(Jpn3)に意欲を見せていた。