新ひだか町でJRAシンポジウムが開催される
7月11日、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、JRA日本中央競馬会が主催する第52回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウムが開催された。
シンポジウムには全国各地から獣医師や牧場関係者が出席。開催に先立ち主催者を代表して菊田淳JRA馬事担当理事は「生産地の先生方におかれましては、予防接種の推進事業、馬伝染性子宮炎蔓延侵入まん延防止事業、生産地疾病等の調査研究などにつきまして、日頃より多大なるご協力をいただいております。このような事業はなくてはならない事業でございます。引き続きご協力をお願いいたします。本日は第52回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウムに多数ご出席いただきましてありがとうございます。本日は午前中につきましては、骨格筋から考える競走馬のトレーニングをテーマに4人の先生にご講演いただきます。すべて最新の知見ですので、生産地にとって有益なものになるとおもいます。午後には8人の臨床の現場で働いていらっしゃる先生に、最新の臨床方法などをご講演いただきます。日本の競馬を振り返りますと、昨年はイクイノックスが世界一の競走馬にランクインされ、また、ジャパンC(G1)も世界一の競走と認定を受けました。これは日本の競馬始まって以来の快挙でございます。生産、育成、競走、そして、生産、というサイクルが非常にうまく、しかも、力強く動いているとことが結果に表れているとおもいます。このサイクルを支えていただいているのは、多くの競馬ファンをはじめ、生産地におけるみなさま方の1日1日の小さな積み重ね、努力が結晶となっていると考えています。改めまして敬意を称します。今日のシンポジウムが有益なものになるよう、どうぞ活発な意見交換、質問等をお願いいたします」とあいさつした。
シンポジウムは「骨格筋から考える競走馬のトレーニング」をテーマに、JRA競走馬総合研究所の高橋敏之氏が座長になり進行。JRA競走馬総合研究所の向井和隆氏が「暑熱順化における生理的適応と骨格筋適応」、JRA競走馬総合研究所の高橋佑治氏が「傾斜のついた走路の走行フォームと筋活動」、JRA日高育成牧場の松井朗氏が「育成期の体脂肪率ならびに除脂肪体重とミオスタチン遺伝子多型の影響」、山口大学の宮田浩文氏が「トレーニングに対する発育期の骨格筋適応とミオスタチン遺伝子多型」を演題にそれぞれ講演した。
午後からの一般公演は、JRA馬事部の村瀬晴崇氏を座長に、JRA日高育成牧場の竹部直矢氏が「【帰朝報告】英国・愛国における競走馬の生産および育成調教」、日高軽種馬農業協同組合の櫻井健太朗氏が「繁殖牝馬における膣内留置型黄体ホルモン製剤(CIDR)を用いた発情誘起の効果」、ノーザンファームの成富麻純氏が「中期育成サラブレッド仔馬に対するEHV-1生ワクチン接種時期の検討」、日高家畜保健衛生所の佐藤陽輔氏が「日高管内における生ワクチン普及前後の馬鼻肺炎による異常産発生状況」を講演。続いて日本軽種馬協会の関一洋氏を座長に、NOSAI日高西部家畜診療所の土屋徹生氏が「喉嚢鼓脹症および蓄膿症に罹患したサラブレッド種当歳馬の症例1」、JBBA七戸種馬場の野田龍介氏が「Rhodococcus equi 感染後に骨髄炎を発症した当歳馬の1症例」、社台ホースクリニックの山家崇史氏が「モバイルCTスキャナーVetTom®32の導入と撮像症例の紹介」、NOSAI家畜高度医療センターの水口悠也氏が「馬の感染性滑液腔炎112例」を演題に講演した。