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星雲賞はトラジロウが勝利

  • 2024年07月16日
  • 2番手から抜け出して後続に4馬身の差をつけた
    2番手から抜け出して後続に4馬身の差をつけた
  • 次走は全国から快速馬が集う北海道スプリントC
    次走は全国から快速馬が集う北海道スプリントC
  • 3つ目の重賞タイトルを獲得したトラジロウ
    3つ目の重賞タイトルを獲得したトラジロウ
  • 2013年に続いて星雲賞2勝目を記録した桑村騎手
    2013年に続いて星雲賞2勝目を記録した桑村騎手
  • 笑顔の関係者。左から3人目が星雲賞最多タイ4勝目の角川調教師
    笑顔の関係者。左から3人目が星雲賞最多タイ4勝目の角川調教師

 8月15日に門別競馬場で行われる3歳馬限定のダートグレード競走「北海道スプリントカップ」の前哨戦的位置づけにある「第21回星雲賞」(ノーブルミッション賞)が7月11日、門別競馬場で行われ、新ひだか町の棚川祐志氏生産で桑村正明騎手騎乗の2番人気トラジロウ(牡3歳、道営・角川秀樹厩舎)が2番手追走から直線で力強く抜け出して1分13秒3(やや重)で優勝。昨年のイノセントカップ、ネクストスター門別に続いて重賞3勝目。通算成績を10戦7勝2着1回とした。

 人気の中心となったのは今年になって「ネクストスター北日本」そして「グランシャリオ門別スプリント」と重賞を2連勝し、勢いに乗るストリーム。とくに前走のグランシャリオ門別スプリントでは、3kgの斤量差があったとはいえ昨年の道営スプリントの覇者スティールペガサスなど古馬一線級を撃破したのだから、その実力は誰もが認めざるを得ないものと最も多くの票を集めていた。オッズは1.8倍。

 一方、トラジロウ対ストリームは2勝2敗。昨年のイノセントカップ、そしてネクストスター門別ではストリームを封じ込めており、今シーズン初戦のネクストスター北日本こそ不覚をとったものの前走のA級特別では56kgの斤量を背負って古馬を完封。管理する角川調教師は「春先に体調を崩したが、まだ完全には戻り切っていない。そういう状態で強い馬相手にどこまでできるか」と、復権をかけた1戦となっていた。オッズは2.3倍。

 この両者の馬連複オッズは1.6倍。「どちらかが勝つ」というよりも「この2頭でワン・ツー・フィニッシュとなる」と信じたファンが多かったことを示すオッズとなっていた。

 3番人気は快足ライトヴェール。デビュー以来、1度も他馬にハナを奪われたことがないスピード馬で、エーデルワイス賞(Jpn3)も逃げて4着。人気を集めた2頭が互いに相手を意識しすぎればチャンスの芽は広がるとオッズは8.8倍。そして4番人気は活躍の場を求めて南関東から移籍してきたピコイチ。デビューから3連勝しハイセイコー記念に挑んだ実力馬。転入初戦はB級特別とはいえ快勝しており未知の魅力が票を集めた。

 ゲートが開いて、真っ先に飛び出したのはトラジロウだったが、二の脚を利かせてライトヴェールがハナを奪う。12秒4、11秒0のラップは馬場状態が異なるとはいえ昨年のエーデルワイス賞の12秒0で10秒9に比べると、ゆっくり目だ。やや離れた3番手にストリームが付けるが、1ハロンを過ぎたあたりからそれを交わしてリコーシャーマンが3番手に。この日のストリームはどうも集中力を欠くような走りで3角手前からムチが入る始末。それでもずるずるとポジションを下げてしまう。そんなことはつゆ知らずに軽快に逃げるライトヴェールをトラジロウが交わしたのは残り100m標識あたり。「動き出すときの手応えはよかったが、抜け出してからは怪しくなってしまった。それでも本当によく我慢してくれた」と桑村騎手。最後2ハロンのレースラップが13秒0、12秒8と加速ラップ。

 心折れたライトヴェールに襲い掛かったのはピコイチ、そしてエンジンを再点火させたストリームだったが、2着にピコイチ。ストリームはライトヴェールに先着を許す4着だった。

 それぞれが弱点を抱えながらもA級スプリンターとしての実績を積み上げてきた上位陣たち。次走はJRA勢を含めた全国から頂点を目指す韋駄天たちの戦い。電撃の6ハロン戦は一瞬たりとも目が離せない1戦になりそうだ。