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14年ぶりの開催となったフロイラインカップはポルラノーチェが勝利

  • 2024年06月21日
  • ヴィヴィアンエイトを振り切り、先頭でゴールへと向かう
    ヴィヴィアンエイトを振り切り、先頭でゴールへと向かう
  • 引き上げてくるポルラノーチェと落合騎手
    引き上げてくるポルラノーチェと落合騎手
  • 2度目の挑戦で初の重賞タイトルに輝いた
    2度目の挑戦で初の重賞タイトルに輝いた
  • インタビューに答える落合騎手
    インタビューに答える落合騎手
  • 田中調教師(左端)は重賞96勝目
    田中調教師(左端)は重賞96勝目

 14年ぶりの開催となったホッカイドウ競馬の「第10回フロイラインカップ」(JBC協会協賛シャープアステカ賞)が6月18日、北海道の門別競馬場ダート1,700mを舞台に行われた。

 戦前の予想は前走のフロイラインスプリントからの重賞2連勝を狙うヴィヴィアンエイト。昨年は1,600mのフローラルC3着のあと、1,700mのブロッサムC、笠松1,600mのラブミーチャン記念を勝つなど中距離路線を歩んだが、今シーズン初戦「ネクストスター北日本」(1,200m)で2着に好走すると齊藤調教師は「北斗盃も選択肢にあったが、牝馬限定戦に」とフロイラインスプリントへと舵を切って重賞3勝目。本来の距離に戻って、人気の中心と思われたが、ふたを開けてみればオッズは2.9倍の2番人気。最も多くのファンから信頼を集めたのは、JRAから転入4戦目となるポルラノーチェだった。JRAでは3戦して結果を出せなかったが、父は名種牡馬キズナで、母ナニアヒアヒはダービー馬マカヒキとは1歳違いの半妹で、4歳違いの半姉にはCBC賞(G3)勝ちのウリウリがいる良血牝馬。転入初戦を大差勝ちし、2戦目は古馬相手に7馬身差。前走のヒダカソウカップは内回り1,600mのペースに戸惑いを見せて2着と敗れたが、管理する田中調教師、手綱を取る落合騎手ともに「外回りコースの方が競馬がしやすい」と雪辱を期していた。こちらがオッズ1.8倍の1番人気となっていた。

 これに続いたのは、やはりJRAからの転入馬ピンクヴェノム。こちらはJRA福島ダート1,150mコースで新馬勝ち。芝へ転じて1勝クラスでも3着という実績もある。転入初戦のエトワール賞2着のあと、ヒダカソウCは3着だったが「距離延長、そして厳しい展開を強いられた前走の内容から(この距離でも)チャンスはある」と期待を集める存在になっていた。オッズは7.0倍。単勝オッズで10倍を切っていたのはこの3頭で、遠征した園田「のじぎく賞」2着バラライカが11.1倍で続いていた。

 門別ダート1,700mコースはスタンド前発走で、1角までの距離はあまりない。人気を集めていた馬がすべて外枠に集中し、やや波乱含みの中、全頭ほぼ互角のスタートでレースが展開された。ハナを奪ったのは佐賀競馬で力をつけてきたダバイカンティークで2番手に吉原騎手が手綱を取るバラライカ。そしてピンクヴェノム。これらが作り出す流れは1角までの1.5ハロンは7.3秒、そして11.6秒と速い。それは息が入るはずの1~2角でも落ちることはなく12.0秒、12.5秒と流れる。

 人気を背負ったヴィヴィアンエイトは、これらから逃げ、先行勢を見るようにやや離れた好位を進み、ポルラノーチェはヴィヴィアンエイトを見るような位置に。レースが動いたのは3角過ぎ。さすがに、推定半マイル49.4秒、前半1,000m62.0秒という流れは先行グループからスタミナを奪い3角過ぎからは14.2秒、14.1秒失速。ヴィヴィアンエイトが前を追うと、ポルラノーチェがそれに続き、最後の直線は一騎打ち。しかし、ポルラノーチェの脚色が勝って突き抜けた。最後の1ハロンは12.7秒。負けはしたもののヴィヴィアンエイトも十分な底力を示した1戦となった。

 ポルラノーチェは新ひだか町の笠松牧場生産馬で、通算成績は7戦3勝2着1回(JRA3戦含む)。総賞金は740万円。

 管理する田中淳司調教師の重賞勝利は遠征した東海桜花賞含め今年6勝目で通算96勝目。落合騎手は北斗盃に続く重賞勝利で今年2勝目、通算19勝目。

 レース後、落合騎手は「前走は人気を裏切ってしまったので、1番人気に応えられてうれしい。どんなペースにも対応してくれて、最後しっかりと伸びてくれるところが長所。まだ伸びしろはたくさんあると思うので、応援して欲しい」と笑顔でレースを振りかえり、田中調教師は「このあと、どこを使うか決めていないが、最大目標はロジータ記念」と締めくくった。