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ヒダカソウカップでサンオークレアが重賞初勝利

  • 2024年05月31日
  • パドックでも力強い歩様を見せていた
    パドックでも力強い歩様を見せていた
  • 牝馬重賞戦線に名乗りを上げたサンオークレア
    牝馬重賞戦線に名乗りを上げたサンオークレア
  • 門別競馬場で今シーズン初重賞勝利を記録した石川騎手
    門別競馬場で今シーズン初重賞勝利を記録した石川騎手
  • サンオークレアにとっても初の重賞タイトルとなった
    サンオークレアにとっても初の重賞タイトルとなった
  • 左端が五十嵐調教師
    左端が五十嵐調教師

 ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)を頂点とするホッカイドウ競馬の牝馬重賞路線の第1弾「第10回ヒダカソウカップ」が5月23日、門別競馬場で行われ、石川倭騎手騎乗の1番人気サンオークレアが南関東からの再転入初戦で重賞初勝利を記録した。石川騎手は5月12日のシアンモア記念(盛岡)に続く重賞勝利で通算44勝目。ホッカイドウ競馬に限れば昨年の道営記念以来の勝利となり、34勝目。開業2年目を迎えた五十嵐冬樹調教師にとっては嬉しい重賞初勝利となった。

 ヒダカソウカップ過去9回の歴史を振り返ると、トリッキーな内回りコースを使用しての春先の牝馬限定重賞とあって、その1番人気馬は【1-1-2-5】と苦戦傾向で、第6回のクオリティスタート以外は、その期待に応えられていない。

 そんな重賞競走だけあって、今年も12頭立てとはいえ単勝オッズ10倍以下の支持を受けた馬が5頭とファンを悩ませた。

 結果、人気の中心となったのはJRAから転入後2戦2勝。大差、7馬身といずれも2着馬に大きな差をつけてきたポルラノーチェだった。母ナニアヒアヒが日本ダービー馬マカヒキの半妹という血統のキズナ産駒。とくに前走はC3クラスの条件戦だったとはいえ、同じ日に行われたイクイノックス・プレミアムを0.1秒差とはいえ上回るもの。ひと足飛びの重賞挑戦とはいえ、51kgの斤量で出走できることもあって不安よりも期待するファンの人気を集めていた。オッズは2.3倍。

 続いたのが、JRAでデビューし、ここ門別競馬場で五十嵐冬樹騎手(当時)を背に初勝利を記録したサンオークレアだった。その後南関東へ移籍して12戦して【7-2-2-1】。落馬による競走中止以外は崩れていない堅実派。しかし、そのほとんどは2,000m戦で積み上げたキャリアであり、五十嵐調教師も「能力的には十分通用すると思うが、内回りの1,600m競馬に対する適性がカギ」とやや不安を口にしていた。オッズは4.6倍。

 3番人気は4連勝中の4歳馬ブリックロード。門別競馬場でデビューし、ここまで24戦12勝と勢いがあるが、そのすべてが1,200m以下で記録したもの。重賞挑戦は昨年の星雲賞以来となるが、逃げなくても競馬ができる器用さを持ち合わせて6.4倍の人気を集めていた。JRAで2歳新馬勝ち、同1勝クラスからの転入初戦のエトワール賞でタイム差なしの2着と好走した3歳馬ピンクヴェノムが7.6倍で、昨年のノースクイーンC優勝レスペディーサが7.9倍と5番人気の支持を受けていた。

 短距離を使われてきた馬が多く参戦し、激しい先行争いが予想されたが、一気に飛び出したのは6番人気サラキャサリンと10番人気ラビアータ。いずれも短い距離を主戦場としてきた馬だけにやはりペースは速くなった。結果的にはコーナーワークを利してサラキャサリンがハナを奪うも12.6秒、11.3秒、12.5秒と厳しいラップが刻まれた。このペースに人気のポルラノーチェ、サンオークレアは付いていくことができずに後方で騎手の手が動いている。とくにサンオークレアは1角手前でムチが入る始末で、石川騎手もレース後には「(付いていけずに)苦しかった」と振り返ったが、ペースに戸惑う愛馬を叱咤激励するようにハミを取らせることに集中させて、向こう正面に入るとグングン加速。内回りコースの勝負どころでピンクヴェノムとブリックロードが抜け出したところ、外からサンオークレアとポルラノーチェが迫り、最後の直線では力の違いを見せつけるかのようにサンオークレアが2着ポルラノーチェに3馬身差をつけて優勝した。「3角で外に出した時の手応えで勝利を確信した」と石川騎手は愛馬を称えた。

 調教師として重賞初勝利を記録した五十嵐調教師は「オーナーの期待に応えられてほっとしている。現役時代に騎乗経験がある馬で能力があるのはわかっていた。今日はサンオークレアにとってベストの条件ではなかったが、石川騎手も頑張ってくれた。次走はゆったり走れる距離のレースを選びたい」と飛躍を誓った。