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ステッペンウルフ産駒が初勝利

  • 2024年05月23日
  • スピードの違いを見せつけてゴールイン
    スピードの違いを見せつけてゴールイン
  • 鞍上の阿岸潤一朗騎手も笑顔でファンの声援に応えた
    鞍上の阿岸潤一朗騎手も笑顔でファンの声援に応えた
  • 父に初勝利をプレゼントしたゼロアワー
    父に初勝利をプレゼントしたゼロアワー

 5月15日、日高町富川駒丘にある門別競馬場にて行われたホッカイドウ競馬の令和6年度第3回門別競馬2日目に組まれた第4競走のJRA認定フレッシュチャレンジ競走において、ゼロアワーが先頭でゴール板を駆け抜け、父のステッペンウルフは種牡馬として記念すべき1勝を記録した。

 この競走は2021年供用開始種牡馬産駒限定競走として実施。2歳新種牡馬産駒のみが出走できるもので、ホッカイドウ競馬では2023年から行われている。

 1,100m(外)で行われた競走には、ステッペンウルフ産駒のゼロアワーのほか、ルヴァンスレーヴ産駒のソルジャーフィルド、オールブラッシュ産駒のディープオーキッド、タワーオブロンドン産駒のシュルーズベリーとテルカメ、ハッピースプリント産駒のファザートゥーサン、ゴールドドリーム産駒のアザレアドリーム、ミスターメロディ産駒のミスターキックと8頭の2歳新種牡馬産駒がエントリー。阿岸潤一朗騎手が騎乗した1番人気のゼロアワーはスタートから好ダッシュを決めると生まれ持ったスピードを思う存分発揮し、最後は後続に8馬身差をつけ1分7秒2のタイムで悠々とゴールインした。

 父に初勝利を届けたゼロアワーは、母がステップフォード、母の父がフリオーソという血統の鹿毛の牝馬。日高町富川東にある新生ファームの所有、生産で佐々木国明厩舎の管理馬になる。

 手綱をとった阿岸騎手は「外枠だったので内の馬を見ながらレースを進めようとおもったのですが、スピードが違ったのでハナに立ってしまいました。道中の手ごたえも終始楽でした。追えば伸びることはわかっていたので、その期待とおり最後は弾けてくれました。距離は1,200mまでは大丈夫。将来的には1,600mまでは克服できるとおもいます。かなり高いポテンシャルを秘めています。能検(能力検査・発走調教検査)は今日も逃げてしまったので、抑える競馬、キックバックを受けたときの精神的なものが今後の課題になるとおもいます」。佐々木調教師は「完璧な勝利でした。仕上がりも良かったので自信をもって送り出しました。この馬の長所はタフさ。距離は伸びても大丈夫でしょう」と話した。

 種牡馬として初勝利をあげたステッペンウルフは、父がサウスヴィグラス、母がディープキッス、母の父がアグネスタキオンという血統。現役時代は2018年にホッカイドウ競馬でデビューしたあと、2019年の京浜盃を制覇するなど12戦5勝2着2回3着3回の成績を残した。現役引退後の2021年に新生ファームで種牡馬入り。初年度産駒はゼロアワーの1頭しかいない。

 ゼロアワーを生産、所有し、ステッペンウルフを繋養する新生ファームの木村敬生社長は「ステッペンウルフは先代がハクツ牧場さんから購買した馬になります。自分が牧場を引き継いでから最初に南関東で重賞を獲った馬なので、自分としても思い入れがあります。ホッカイドウ競馬の松本隆宏厩舎から船橋の佐藤賢二先生(故人)が管理して、勝ったり負けたりで、一喜一憂した思い出があります。ケガして引退しましたが自分の目が届くところにおいてあげたくて種馬にしました。種牡馬の世界が厳しいのは理解していますが、こうやってみんなが注目するレースで勝つことができてとても感慨深いです。本当によかったです。これからもケガなく走ってくれたらうれしいです」と喜びをかみしめ「ステッペンウルフの産駒はゼロアワーしかいません。そのあと、タイミングが合わず2年間お休みしましたが、今年は3年ぶりに2頭と交配しました。受胎確認はまだですがなんとか受胎してくれれば」とステッペンウルフの近況も教えてくれた。

 2024年2歳新種牡馬の産駒の勝利はレッドベルジュールに次いで2頭目になる。