北海道静内農業高等学校で2頭の当歳が生まれる
全国の公立高校で唯一、軽種馬生産を行っていることで有名な新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(赤穂悦生校長)で今年も2頭の当歳が誕生した。
一頭目は本年から静内農高に導入された繁殖牝馬アツコから生まれた鹿毛の牝馬。父は日本軽種馬協会静内種馬場に繋養されるミスチヴィアスアレックスで3月12日20時30分ころ、元気に産声を上げたという。
二頭目は母ナリタトップスターから生まれた鹿毛の牡馬。父は昨年から日本軽種馬協会静内種馬場で種牡馬生活を送るカラヴァッジオで4月24日20時40分ころ誕生したという。
二頭の出産には生産科学科馬事コースの2年生が見学。二組の母子は生まれてからも順調に過ごしており、アツコはすでに日本軽種馬協会静内種馬場で繋養される大種牡馬マクフィの受胎が確認されている。
アツコの出産を目の当たりにした埼玉県出身の佐川虎之介さんは「出産予定日(3月7日)を過ぎていたので、まだかまだかと首を長くして待っていました。わたしは町内で下宿しているのですが、『生まれそうだ』という連絡を受けて、先生の迎えの車で厩舎へ駆けつけました。お産に立ち会うのは初めて。アツコは自分の命をかけて出産しているのだとおもいました。生命の誕生はとても神秘的だと感じました」。ナリタトップスターの出産に立ち会った神奈川県出身の望月渉さんは「わたしは校内にある寮に住んでいるので、生まれるまでは就寝時間ぎりぎりまで待って過ごしていました。当日は分娩の管理をする先生からの連絡を受けて、ダッシュで厩舎へ向かいました。予定日(4月12日)を過ぎていたので気が気じゃありませんでした。母子ともに健康に生まれてきてひと安心という気持ちとこれからどんな子に育っていくのか楽しみという気持ちです」と話し、東京都出身の山田向日葵さんは「とても人なつっこい子で放牧地へ迎えに行くと、遠くからでも寄ってきてくれます。ナリタトップスターは過保護な感じなんですけれど、お母さんにはお構いなしで人間になついてとてもかわいいです」と白い歯を見せた。
2頭の当歳は生産科学科馬事コース2年生28人が中心となり、来年の北海道市場への上場まで育成する。1歳市場上場へ向けて3人は「元気で活発な子なので放牧地でいっぱい運動させるのはもちろん、飼料管理などに気をつけてのびのびと育てていきたい」と意欲を見せ、競走馬としては「まずはけがなく無事にデビューを迎えてくれれば」と期待をかけた。