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日本軽種馬協会静内種馬場で2023年(第45期)生産育成技術者研修の修了式が行われる

  • 2024年03月25日
  • 第45期生の修了式
    第45期生の修了式
  • 屋内馬場での騎乗供覧
    屋内馬場での騎乗供覧
  • 遊佐繁基場長から修了証書が授与された
    遊佐繁基場長から修了証書が授与された

 3月22日、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場において、2023年(第45期)生産育成技術者研修修了式を行った。

 この日、昨年4月からの厳しい研修を終えた第45期生は、男性12人、女性3人の合計15人。研修寮での集団生活を通して軽種馬生産技術者としての基本的な知識や技術を学んできた。

 修了式前には研修生の家族や就業先の関係者、来賓を5年ぶりに招いて騎乗供覧を実施。屋内馬場において人馬一体となった騎乗技術を披露した。15人の第45期生は全員、道内外の生産牧場、育成牧場への就業が決まっているという。

 研修寮の講義室で行われた修了式では、遊佐繁基場長が15人に修了証書と記念品を授与。続いて上野儀治副会長理事が「まずもって、昨年から一年間、厳しい訓練を耐え抜き、本日、晴れて研修を修了される研修生のみなさまに、心からお祝いを申し上げます。また、ご来賓、ご家族のみなさまには、ご多用中にもかかわらずご臨席を賜わり、厚く御礼を申し上げます。2019年末から流行した新型コロナウイルス感染症が、五類感染症に移行し、社会経済活動の正常化が進む中、こうして5年ぶりにご来賓、ご家族のみなさまをお迎えし修了式を行えることを大変うれしくおもっております。この一年間は、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの情勢の悪化などによりエネルギーや食糧価格が高騰し、世界的なインフレ、円安の進行などを受けて国内でも物価上昇などによる生活面への影響がみられ不透明感の漂う状況が続きました。しかしながら、こうした状況にありましても、わが国の競馬は着実に開催され、中央競馬、地方競馬ともに前年を上回る売り上げを記録し、また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録、生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字を伸ばし、生産界は順調に成長を続けています。このように、一時期苦しい状況におかれた競馬産業も、ここ数年ふたたび盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような強い競走馬を生産、育成し、競走の魅力を向上させることが最も重要な課題であります。そのためには、生産・育成分野における専門的な訓練を受けられた、みなさんのような技術者の力が不可欠でございます。本協会では、生産育成界の期待に応え得る技術者を養成するため、平成二年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者はみなさんを含め今年で508名になりました。本研修修了者に対する、業界内の評判はひじょうに高く、今回巣立たれるみなさんを含め、修了生の就職率は100%となっており、また、定着率も約八割と高い水準にあり、競馬サークルに大きな貢献をいたしております。本研修が競馬サークル内でこのように高い評価を得られるようになった背景には、みなさんの先輩方の尽力があったことはいうまでもありません。みなさんもプロとして、この道を選択されたからには、自分を厳しく律して精進し、生産育成界を担う立派なホースマンになってください。わたしどもは、みなさんがここで学ばれた知識や技術、馬を愛する気持ちを、余すところなく実践の場で発揮し、活躍されることを心から願っています。結びに、本日ご臨席を賜わりましたご来賓、ご家族のみなさまに改めて心より御礼を申し上げます。また、修了生の受け入れ関係者のみなさまにおかれましては、意欲に満ちた青年たちに対する温かいご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ごあいさつといたします」と河野会長理事の式辞を代読した。

 来賓からは北海道日高振興局生田泰局長とJRA日高育成牧場浮島理場長が代表して祝辞。最後は研修生を代表して児島はなさんが「私たち第45期生は、昨年4月に入講して以来、これまでにひじょうに多くの経験をさせていただきました。いまでは当たり前にできる厩舎作業も、研修当初は道具の使い方もわからず馬房ひとつ空けるのも大変だったことを覚えています。はじめての騎乗では鐙をはくことさえひと苦労でしたが、ずっしりとした馬の背中や馬上からの景色に感動し、はやあしやかけあしができるようになっていくたびに、よろこびを感じました。研修が進むにつれ、ただ、馬にまたがっているだけではなく、要求されるレベルも上がり、自分で考えて騎乗することが多くなり、一頭一頭に向き合った乗り方やかかわり方をしていくことができました。わたし自身はすべてが順調だったわけではなく、重いものを動かすことや走路で力の強い馬をおさえることが難しく、自分の未熟さを痛感する日々でしたが、先生方の丁寧な指導と仲間である研修生たちの協力で壁を乗り越えることができ、馬と接することのよろこびや、むずかしさも魅力であり、とても楽しいこと、馬とかかわっていくことで自分は成長できることを知りました。心から馬を好きになれたのは、たえず教えてくださった先生方、講義や実習でお世話になった日高育成牧場や地元のみなさん、おいしい食事を作ってくれた寮母さん、そして、なによりも研修乗馬のおかげです。ほんとうに感謝しております。これからは研修生それぞれが牧場に就職しますが、社会人として責任の重さや感謝の心を忘れず、日々努力していくとこを誓います」と謝辞した。