新冠町レ・コード館で蹄葉炎に関する研修会が行われる
公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長)は2月15日、新冠町のレ・コード館シアタールームで「蹄葉炎」に関する研修会を行った。この研修会は、日本軽種馬協会が地方競馬全国協会の補助を受けて実施している「軽種馬経営高度化指導研修事業」の一環として開催しているもの。今回のテーマは「蹄葉炎について」。
「蹄なくしてウマはなし」ともいうが、蹄葉炎はさまざまな要因で発症する蹄の病気で重症化すれば起立不全となって予後不良となることが多い。競走中に骨折したテンポイント、あるいは種牡馬として活躍していたトウショウボーイ、サンデーサイレンスなど蹄葉炎によって命を絶たれた著名馬も少なくない。
その一方で、いまだに効果的な予防方法や治療方法が確立されていないものだけに、少しでも多くの知識を得ようと、100人以上の獣医師や装蹄師が集まり、研修会終了後のディスカッションも盛り上がりをみせて、予定終了時間を超える盛況なワークショップとなった。
今回の研修はJRA日本中央競馬会競走馬総合研究所の桑野睦敏上席調査役による「蹄葉炎の基礎知識」、大和高原動物診療所関東診療所の齋藤重彰獣医師兼装蹄師による「蹄葉炎への多方面戦略」、合同会社アテナ統合獣医ケアBan'ei競走馬診療所の福本奈津子獣医師による「重種馬の現役ばんえい競走馬における蹄葉炎の実例」、そしてJRA日本中央競馬会日高育成牧場の金子大作装蹄師による「蹄葉炎への3Dシュー応用例」の4テーマ。
栗東トレーニングセンターで診療業務の経験もある桑野氏は蹄葉炎について、その定義と発症要因、実際の発症例と治療例などの病理を説明し、蹄葉炎についてさまざまな臨床経験を持ち、国際的にも活躍している齋藤氏は蹄葉炎について内科的療法、外科的療法、装蹄療法アプローチを実際の例を紹介しながら説明。また、農水省での勤務経験もあり帯広競馬場でばんえい競馬の競走馬の治療に携わる福本獣医師は、ばんえい競馬における蹄葉炎の発症例や治療方法など紹介。軽種馬と比較して発症例が多いことなども併せて報告した。美浦、栗東の両トレーニングセンターでも装蹄業務を経験し、現在は3D技術を活用して、3Dプリントシューについての調査研究を行っている金子装蹄師は3Dプリンターを使用した装蹄療法を紹介。手軽で効果が見られた症例などを紹介した。
研修終了後のディスカッションでは蹄葉炎について、さまざまな意見交換が行われた。