社台スタリオンパレード2024が開催
2月6日、安平町の社台スタリオンステーションで「社台スタリオンパレード2024」が開催された。
2023年に社台スタリオンステーションの繋養種牡馬は、32頭が4,376頭の繁殖牝馬に種付けを行った。これは日本国内のスタリオンでは最多の数字となっている。
まさに日本一のスタリオンステーションの展示会で、いの一番に展示が行われたのは新種牡馬のイクイノックス。昨年、一昨年と2年続けてJRA年度代表馬に輝くなど「日本一」の評価を得ただけでなく、「ロンジンワールドベストレースホースランキング」では、「世界一」のレーティング(135ポンド)が与えられている。
展示の中では、現役時に管理をしていた木村哲也調教師にマイクが渡された。
「イクイノックスのパフォーマンスについては、改めてご説明するまでも無いかと思いますが、その中でも23年の天皇賞(秋)(G1)とジャパンC(G1)に関しては、世界ナンバーワンの称号にふさわしいパフォーマンスだったと思います。ルメール騎手も驚いたと話していた瞬発力とパワー。馬の教科書に出てくるような理想的な馬体と奇跡的な馬ではありますが、管理をしていた中で一度も病気に遭遇しなかったのを、生産者の皆さんに強調しておきたいと思います」と種牡馬としての様々な魅力を語った。
次に展示されたのも新種牡馬のシュネルマイスター。3歳時には初のG1出走となったNHKマイルC(G1)を優勝。これは2001年のクロフネ以来、20年ぶりの外国産馬のNHKマイルC(G1)制覇となっただけでなく、ドイツ産馬のJRA重賞勝利は1995年ジャパンC(G1)のランド以来26年ぶり。そして日本で調教されたドイツ産馬としては、初めての重賞勝ち馬ともなった。
管理をしていたのは手塚貴久調教師となる。
「イクイノックスの展示の後は、なかなかコメントし辛いです」と苦笑いを浮かべながらも、手塚調教師はシュネルマイスターのセールスポイントを述べていく。
「初めて実馬を見た時から、血統的背景が日本に合うと思っていたことと、それだけに、種牡馬として牧場の方にお返ししなければいけないとも考えていました。精神面や体型にも幼さがあった中で、2歳の早い時期から高いパフォーマンスを見せてくれました。NHKマイルC(G1)での末脚を見た時には、改めて、この血統を後世に残したいとの思いが強くなりました。その末脚も含めてベストパフォーマンスと言えたレースは昨年の毎日王冠(G2)であり、3着に敗れはしましたが、残り100mでの瞬発力は、長きに渡って調教師をやってきた中でも、初めて見たような末脚の鋭さでした。その末脚の鋭さを受け継いだ産駒をターフに送り込んでもらえたらと思います」と手塚調教師は、トレーナーならではの視点でシュネルマイスターの魅力を語っていた。
新種牡馬3頭目はグレナディアガーズ。現役時は2歳時に朝日杯FS(G1)をコースレコードで優勝。その後もシュネルマイスターといった、ライバルたちを相手にしながら、芝のマイル戦線で活躍を見せていった。母ウェイヴェルアベニューはBCフィリー&メアスプリント(G1)の勝ち馬。そして近年、日本生産界での繋養が目立ってきたフランケルの後継種牡馬だが、社台スタリオンステーションとしては初めての導入ともなる。
展示に際しては中内田充調教師が駆け付けて、グレナディアガーズのセールスポイントを分かりやすく伝えていた。
「父、そして母と説明がいらないような良血馬であり、牡馬として生を受けた時から種牡馬候補となっていたと思います。2歳時の朝日杯FS(G1)でレコード勝ちをおさめたように、スピードに秀でたパフォーマンスを見せてくれました。それだけに早熟馬とも思われがちでしたが、3歳になってからも活躍を続けていき、それは古馬を相手にした阪神C(G2)の鮮やかな差し切り勝ちにも証明されていると思います。早い時期から結果を出してくれた本馬の活躍は、現在の競馬界のサイクルにあっていると思いますし、その後も自身のように心身ともに成長を遂げながら、息の長い活躍を見せる産駒も出てくるはずです」と父を彷彿とさせるような活躍を期待していた。
新種牡馬3頭の後は、今年、産駒デビューを迎える5頭の種牡馬(サートゥルナーリア、アドマイヤマーズ、シスキン、ルヴァンスレーヴ、ナダル)。そして初年度産駒が3歳を迎えた種牡馬(ブリックスアンドモルタル、レイデオロ、ニューイヤーズデイ)の展示が行われていく。
そして来年、産駒デビューを迎える3頭(コントレイル、ダノンキングリー、クリソベリル)に続き、今年、初年度産駒を誕生させる3頭(サリオス、ホットロッドチャーリー、エフフォーリア)と、未来の日本生産界を沸かしていく種牡馬たちが展示されていった。
そして重賞馬やG1馬を送り出し続ける、産駒実績に秀でた種牡馬たち(イスラボニータ、サトノクラウン、オルフェーヴル、ルーラーシップ、モーリス、ドレフォン、マインドユアビスケッツ、キズナ、ロードカナロア、スワーヴリチャード、エピファネイア)が、次から次へと姿を見せていく。
その錚々たる種牡馬の中で、大トリとして姿を見せたのはキタサンブラック。イクイノックスの父であり、今年の種付料である受胎条件の2,000万円もまた、イクイノックスと並ぶ国内の繋養種牡馬では最高額の評価がされている。
そのキタサンブラックとイクイノックスを含めて、スタリオンパレードの開催時点で、8頭の繋養種牡馬が既に満口。今後、他の繋養種牡馬も満口となるような人気を集めていくのは間違いない。
今シーズンも種付総数だけでなく、繋養種牡馬の産駒成績も加味される形で、社台スタリオンステーションが「日本一のスタリオン」の座を守り続けるのは間違いなさそうだ。