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静内軽種馬生産振興会が講習講話会を開催

  • 2023年12月18日
  • 静内軽種馬生産振興会主催講習講話会
    静内軽種馬生産振興会主催講習講話会
  • あいさつする畠山会長
    あいさつする畠山会長
  • 講師を務めた久米係長
    講師を務めた久米係長
  • スライドを使って解説された
    スライドを使って解説された
  • 貴重なデータが公開された
    貴重なデータが公開された

 静内軽種馬生産振興会(畠山史人会長)は12月14日、新ひだか町の静内エクリプスホテルにJRA日本中央競馬会日高育成牧場の久米紘一診療防疫係長を招いて「レポジトリーに関する異常所見や調査研究」をテーマにした講習講話会を開催した。

 これは、全国地方競馬全国協会の競走馬生産振興事業で、日本軽種馬協会が行う軽種馬経営高度化指導研修事業の一環。

 開催に先立ち畠山会長は「本日は、当振興会会員のみならず日本中央競馬会日高育成牧場から多くの方にご参加いただきました。日頃から当事業にご理解ご協力をいただき感謝申し上げます。この講習講話会は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から開催を中止していましたが、昨年から再開することができました。今回の講演が参加いただいた皆様にとりまして有意義な時間になりことをお祈り申し上げます」とあいさつ。

 今回、講師を務めた久米係長は1989年生まれ。16年に東京農工大学農学部獣医学科卒業後、同年にJRA日本中央競馬会に入会。栗東トレーニングセンター競走馬診療所や競走馬の診療業務などに携わり、21年から日高育成牧場で育成鵜馬の診療・管理・馴致・調教などを担当している。

 せり市場などにおいて公表事項として扱われているレポジトリーは、外見上ではわからない上場馬の医療情報などの公開を目的としたもの。レントゲン写真や内視鏡動画などが開示されており、購買後は開示されている情報を理由として契約解除はできない。

 久米係長は「レポジトリーで所見があっても、問題とならずに競走を続けられる馬も多く、また適切な治療を行えば競走能力に影響を及ぼさないケースも多い。気にしすぎると、良い馬との出会いを逃すことにもなる。大事なのは正しく理解すること」とレポジトリーに対する考え方を示した。

 その後、久米係長は内視鏡動画やレントゲン検査でみられる所見などを具体的な例を示しながら解説を行い、実際に北海道市場へと提出されたレポジトリーから得られたデータを症例別に、市場売却率や競走結果などを紹介し、またJRA育成馬のセイウンワンダーやモンストール、ヨカヨカなどについても当時のレポジトリー所見を紹介した。

 その結果、販売者に対しては「可能な限り情報開示すべき。そのためにはおとなしく検査できるように馴致しておくことも大切。(今回の調査研究から)所見があるからと言っても売却率や売却金額に大きな差はあるわけではなく、必ずしも上場をやめる必要はない」とアドバイスし、購買者に対しては「自分で勉強することはもちろんだが、信頼する獣医師をパートナーにすることが重要。レポジトリー所見とリスク、馬の出来を天秤にかけて考えましょう。リスクのない馬はいない」として「販売者と購買者の両方が正しい知識を持ち、お互いがリスクを承知で取引することが大切」と結論づけた。