ひだかうまキッズ探検隊が獣医師の仕事を体験
12月9日、新ひだか町教育委員会が主催し一般社団法人umanowaが企画・運営する「ひだかうまキッズ探検隊2023」は、静内目名にあるイノウエ・ホース・クリニックにおいて、獣医師の仕事を体験した。
ひだかうまキッズ探検隊は、新ひだか町在住の小学校3年生から6年生を対象にした「馬を通して繋がる・結ぶ」活動をする集まり。今年は6月のライディングヒルズ静内から始まり、7月のビッグレッドファーム、8月の公益財団法人軽種馬育成調教センター、9月の札幌競馬場、特別編の門別競馬場キャンプ、アロースタッドとレックススタッド、10月の木村秀則牧場、11月のひだか・ホース・フレンズとJBC2歳優駿(Jpn3)と北海道静内農業高等学校に続き、10回目の活動になった。
ひだかうまキッズ探検隊が今回赴いたイノウエ・ホース・クリニックは、院長の井上裕士獣医師が、「地域の一次診療に貢献するため」、平成15年に開業。馬の診療一般、なかなか妊娠しない馬の原因究明と治療、各疾患に対する外科手術、胎子の雌雄鑑別などの繁殖牝馬診療、競走馬、育成馬の跛行診断、各種疾患の診断と治療、レポジトリー検査などをおこなっている。また、海外の各専門分野の獣医師とも密に連絡を取り、最新の知識や技術を積極的に導入。日ごろの臨床で得られたデータをまとめた研究成果を日本や海外の学会で発表し、令和4年には「馬の卵管通水法による凍結精液を用いた卵管受精:試験的な試み」で 日本産業動物獣医師会北海道獣医師会長賞を 受賞、令和5年には「馬の選択的卵管通水法に関する研究」という学位論文で帯広畜産大学にて博士号取得している。
井上院長は「わたしは繁殖牝馬を種付けするタイミングを計る直腸検査をしています。種付時期は1月から6月くらいまでで、その半年間は忙しいです。だいたい朝の5時から夜は9時まで仕事をしています。夜は難産で牧場から呼ばれることもあります。出産は3月から4月がピークになります。わたしは300頭の繁殖牝馬の直腸検査をします。1頭平均で10回、年間で3000回以上検査をしています」と説明。実際に繁殖牝馬を用いての直腸検査を子どもたちの前で披露した。
子どもたちは水銀体温計を用いての検温、聴診器をあてて心拍数の測定、馬の骨格のスケッチ、診療した繁殖牝馬の名前や年齢、品種、体温、心拍数などを書き込んで独自のカルテを作成。獣医師の仕事の大変さや動物の命の尊さなどを学んだ。