道営記念はシルトプレが4馬身差をつけて勝利
ホッカイドウ競馬の1年を締めくくる「農林水産大臣賞典 第66回道営記念」(JBC協会協賛ルーラーシップ賞、H1、2000m)が晴れ、やや重馬場のコンディションで行われ、新ひだか町の藤原牧場生産で2番人気シルトプレが、1番人気アナザートゥルースに4馬身差をつけ、2分8秒2のタイムで優勝した。
9歳になったとはいえ転入後は影をも踏ませぬ3連勝でJRA重賞勝ち馬の貫録を見せているアナザートゥルースに昨年の2冠馬で今夏のエルムS(G3)5着シルトプレ。さらに圧倒的な強さで3冠ロードを突き抜けたベルピットと連覇を狙うサンビュート。フルゲートに満たない11頭立てとはいえ豪華メンバーが顔を揃えた第66回道営記念。1着賞金2,000万円とホッカイドウ競馬最高の名誉をかけた熱い1戦を一目見ようとこの日、競馬場に足を運んだのは1,492人。スタート前には富川高校吹奏楽部による生ファンファーレ演奏が行われ、ムードが高まる。
スタートはほぼ横一線。外から昨年の王冠賞でシルトプレの三冠を阻んだエンリルがハナを奪い、2番手にはキタサンブラックの全弟ネクサスハート。飛ばす2頭を見るような位置に収まったベルピットが3番手でアナザートゥルースは中団。そのアナザートゥルースをぴったりマークするようにシルトプレが続く。前半3ハロンの通過ラップは37.1秒で、半マイル通過が50秒。かなり早い段階からバテた馬が下がっていったように、頂上決戦らしい厳しいラップが刻まれる。
3~4コーナーで逃げるエンリルにベルピットが迫り、その外からはアナザートゥルースとシルトプレ。サンビュートはインコースを縫うようにあがって前を追う。勝負処で人気馬がひと固まりになろうとして場内のボルテージも最高潮を迎えようというその瞬間、先頭のエンリルが馬体に故障を発生して転倒。それを避けられずにベルピット、キタノインディ、ホッコーライデン、ドテライヤツ、ネクサスハートらも次々と落馬、競走中止。歓声が悲鳴に変わった。
ギリギリのところで難を逃れたアナザートゥルースが先頭に立とうというところ、外からシルトプレが交わして先頭ゴールイン。笑顔なき勝利となった。
レース後の勝利騎手インタビューも中止となったが、石川騎手は「ここを目標にしていたので結果を出すことができてほっとした。返し馬から状態の良さは感じており、自信をもって騎乗することができたし、道中も終始余裕がある走りだった」と淡々とレースを振り返り「これまでも交流競走でよい走りを見せているので、これからもチャレンジしていきたい」と静かに目標を述べた。