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道営スプリントはスティールペガサスが連覇を達成

  • 2023年11月13日
  • 最後1ハロンを12秒6の加速ラップで後続を封じ込めた
    最後1ハロンを12秒6の加速ラップで後続を封じ込めた
  • 2連覇を達成して堂々と引き上げてきたスティールペガサス
    2連覇を達成して堂々と引き上げてきたスティールペガサス
  • 道営スプリント3連覇の桑村騎手
    道営スプリント3連覇の桑村騎手
  • プレゼンターを務めた小川直也さんと
    プレゼンターを務めた小川直也さんと
  • 喜びの関係者
    喜びの関係者

 最北の競馬場で行われる快速馬決定戦「第18回道営スプリント」(H1、1200m)が11月8日、門別競馬場で行われ、桑村真明騎手が手綱を取った1番人気のスティールペガサス(新ひだか町・グランド牧場生産)が優勝。昨年に続いて同レース連覇を達成した。

 昨年、破竹の4連勝で短距離王に輝いたスティールペガサス。しかし、史上2頭目となる2連覇への道のりは決して平たんなものではなかった。ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2023年シーズン初戦「エトワール賞」で3歳馬スペシャルエックスの挑戦を退け、地元の「北海道スプリントカップ(Jpn3)」、遠征した岩手競馬の「クラスターカップ(Jpn3)」と2つのダートグレード競走では、いずれも地方競馬勢で最先着の3着、5着と健闘したものの、記録的な暑さと津軽海峡を越えての遠征で体調を崩してしまった。2連覇を狙ったウポポイオータムスプリントは1番人気に支持されたものの伸びきれずに5着。それでも最大目標とするこのレースに向けて厩舎スタッフ一丸となった立て直しが図られ、実質的な最終追切となる5日は屋内坂路で36秒2。管理する角川秀樹調教師をして「100%ではないが、力を出せる状態」というエントリーだったが、そんな王者をファンは1.9倍の1番人気で迎えた。

 舞台となる門別競馬場1200mコースは2角引き込み線がスタート。470mのバックストレッチを使ってのポジション争いが大きなポイントとなるが、短距離戦にしては逃げ、先行馬の少ない組み合わせとなったことがスティールペガサスには味方した。徹底先行イッツクールが刻んだ最初の1ハロンは12.5秒で、そこから2ハロン目までが11.2秒。前の週に行われて2歳牝馬によるエーデルワイス賞(Jpn3)が12.0秒、10.9秒だったことから、この距離の重賞競走としてはスローペースだ。イッツクールに絡んだのは2歳時の金沢シンデレラカップ優勝以来、重賞実績に乏しい4歳牝馬ボサノヴァでこの2頭がレースを引っ張り、勢いよくゲートを飛び出したスティールペガサスが単独3番手。前の2頭が後続を離して逃げたことで「今年は3~4コーナーでズブくなっている」と桑村騎手が言うスティールペガサスは、容易に外に持ち出すことができて、逃げたイッツクールの外に馬体を併せに行く。外からは前日にホッカイドウ競馬のシーズン最多勝記録を更新しリーディングジョッキーの座をほぼ確定させている落合騎手が騎乗するスマートダンディーが迫るが、7月のグランシャリオ門別スプリント、8月のクラスターカップ、9月のウポポイオータムスプリントのいずれも先着を許していないスティールペガサスが抜け出して、堂々2連覇を達成。鞍上の桑村騎手、管理調教師の角川秀樹調教師にとっては一昨年のアザワクからの3連覇となり、2着には大外から追い込んだ6番人気ドウドウキリシマが元JRAオープン馬の貫録を示している。

 「ほっとしている」とレース後のインタビューで安どの表情を見せた角川調教師は「夏負けが尾を引く状態だったが、スタッフが頑張ってくれた」と労い、アウヤンテプイが2013年から15年にかけて記録した3連覇に挑むこととなった。

 強い馬が強い競馬をすることは当たり前のことではなく、周囲のサポートが不可欠。そんな当たり前のことを改めて知らされる道営スプリントとなった。