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新冠町で英国装蹄師による肢蹄管理技術講習会が開かれる

  • 2023年11月07日
  • 新冠町で開かれた肢蹄管理技術講習会
    新冠町で開かれた肢蹄管理技術講習会
  • 肢蹄管理について講演するスティーブン・キールト氏
    肢蹄管理について講演するスティーブン・キールト氏
  • 会場には約170人の牧場関係者が集まった
    会場には約170人の牧場関係者が集まった

 10月26日夜、新冠町中央町にある新冠レ・コード館町民ホールにおいて、英国装蹄師による肢蹄管理技術講習会が開催された。

 この講習会は公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)が主催。NAR地方競馬全国協会の補助を受けて実施している軽種馬経営高度化指導研修事業の一環となる。当日は日高や胆振から牧場関係者約170人が出席。講師にはイギリスからスティーブン・キールト氏を招いた。

 講習会の開催にあたり主催者を代表してJBBA静内種馬場の遊佐繁基場長は「本日はご多忙のところ、多数のご参加をたまわりまことにありがとうございます。これまでJBBAの軽種馬経営高度化指導研修事業では、さまざまな分野の研修を行ってきましたが、今回の講習会は肢蹄管理技術講習会として、イギリスのスティーブン・キールト氏をお招きし、ご講演いただきます。非常に熱心な先生で、さきほどまでスライドを更新しましてアップデイトしていました。本日の講演内容は、コンフォメーション、これまでの症例、肢蹄管理など、幅広い内容になっておりますので、みなさまの蹄管理の一助になれば幸いです。とても熱い先生です。質問しますととても熱心に答えてくれます。多くの質問をお願いします」とあいさつ。進行はJBBA静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センターの関一洋上席調査役が務めた。

 講師を務めたスティーブン氏は、アイルランド出身の42歳。装蹄歴は25年で、そのうち20年以上をイギリスのニューマーケットを拠点として活動している。現在は10月21日にイギリスで行われた英チャンピオンS(G1)をキングオブスティールで制したイギリスのロジャー・ヴァリアン厩舎の専属装蹄師として活躍。過去にはフランケル、JBBA静内種馬場繋養のノーブルミッションや、海外遠征したシュヴァルグラン、イクイノックスといった日本調教馬も担当したという。

 2007年にはサラブレッドの肢蹄疾患治療に特化した装蹄所Ashmount Forge Ltd.を設立。ヴァリアン厩舎のほか、生産牧場などの繁殖牝馬、若馬の肢蹄管理を行うかたわら、ニューマーケットを代表する馬診療所ロスデールズのコンサルタントも務めている。

 講演でスティーブン氏は、馬のコンフォメーションを適切に評価するノウハウ、肢軸異常、初期調教の課題、跣蹄管理などについて、スライドや動画を交えて説明。会場からは「蹄鉄をつけている2歳馬で運動量を増やすと蹄踵がつぶれるトラブルが多く見受けられたのですが、調教量が多いと蹄踵がつぶれてしまうのでしょうか?」、「トレッドミルの調教が多いと蹄に影響がありますか?」、「肢軸異常を治すために当歳にエクステンションを装着することがありますが、どのようなパドック管理をして放牧したらよいですか?」、「ニューマーケット全体で装蹄師はどれくらいいるのか?」、「種牡馬の蹄管理で気をつけなければいけないことを教えてください」、「蹄鉄の材質は硬い方が良いのか、柔らかい方が良いのか教えてください」といった質問が寄せられ、スティーブン氏は丁寧に回答した。