技術者対象の肢蹄管理技術講習会が行われる
10月27日、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)静内種馬場研修所において、技術者を対象にした肢蹄管理技術講習会が開催された。
この講習会はJBBAが主催。NAR地方競馬全国協会の補助を受けて実施する軽種馬経営高度化指導研修事業の一環で、講師にはイギリスにおいて装蹄師として活躍するスティーブン・キールト氏が招聘された。当日は日高や胆振から80人以上の獣医師、装蹄師が出席した。
講師のスティーブン氏はアイルランド出身。装蹄師としてのキャリアは25年以上で、現在はイギリスのニューマーケットを拠点に、ロジャー・ヴァリアン厩舎の専属装蹄師のほか、サラブレッドの肢蹄疾患治療に特化した装蹄所Ashmount Forge Ltd.設立、ニューマーケットを代表する馬診療所ロスデールズのコンサルタントなどを務める。2003年にイギリス王立の上級装蹄師免許(DWCF:Diploma Worshipful Company)を取得。2022年には「蹄角度がサラブレッドのパフォーマンスと健全性に与える影響」についての論文を執筆し、理学学士号(Hon)を取得するなど調査研究にも力を入れているという。10月22日に来日。講習会の講師は、茨城県にある美浦トレーニングセンター、栃木県にある公益社団法人日本装削蹄協会装蹄教育センター、新冠町にある新冠レ・コード館町民ホールに続き、4か所目になった。
JBBA静内種馬場は、午前中に講義、午後から実習という2部構成。午前中の講義ではソフトウェアを使った作業方法、肢軸異常の当歳のケーススタディ、当歳エクステンションの装着法、蹄葉炎のケーススタディ、調教中の古馬の跣蹄管理についてのケーススタディ、調教中の4歳牝馬の跛行についてのケーススタディなどについてレクチャーした。
午後からの実習は、JBBA生産育成技術者研修の研修乗馬を使用。スティーブン氏は研修乗馬の歩様や蹄底を目視で確認した後、動画や写真を撮影。左右のバランス、蹄の形、蹄壁の特徴などを瞬時に見抜き、蹄底の削蹄や蹄鉄の装着といった装削蹄の方針や手順を説明し、あっという間に作業を完了させた。
出席した装蹄師はスティーブン氏の装削蹄技術を盗もうと、積極的に質問したり、装削蹄の一挙手一投足に熱い視線を送った。