馬産地ニュース

新ひだか町で健康管理技術講習会が行われる

  • 2023年10月13日
  • 新ひだか町で行われた健康管理技術講習会
    新ひだか町で行われた健康管理技術講習会
  • 講師を務めた帆保誠二鹿児島大学共同獣医学部教授
    講師を務めた帆保誠二鹿児島大学共同獣医学部教授
  • 出席者から多くの質問が寄せられた
    出席者から多くの質問が寄せられた

 10月4日、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階ホールにおいて、健康管理技術講習会が行われた。

 この講習会は獣医師を対象にしたもの。公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)の主催で、NAR地方競馬全国協会の補助を受け実施している軽種馬経営高度化指導研修事業の一環として開催された。

 講習会には日高管内や胆振管内の獣医師ら約50人が出席。主催者を代表して山本竜太JBBA静内種馬場次長は「これまでJBBAの軽種馬経営高度化指導研修事業ではさまざまな分野の研修を行ってきましたが、本日の講習会は、鹿児島大学共同獣医学部教授の帆保誠二さまを講師にお迎えし、今日から使える炎症マーカーと抗菌薬療法、というテーマでご講演いただきます。本日の講演内容は、軽種馬生産地の臨床現場でも活用いただけるものと期待しておりますので、本日の講演会をみなさまの業務の一助としていただき、地域に還元していただければ幸いです」とあいさつした。

 講師に招かれた帆保氏は熊本県出身。平成元年に鹿児島大学大学院農学研究科獣医学科専攻修士課程を修了し、JRA日本中央競馬会に入会。美浦や栗東のトレーニングセンターで競走馬の臨床に従事し、栃木県の競走馬総合研究所勤務時には主に呼吸器の細菌感染症の研究をし、輸送熱や肺炎の治療法を確立した業績を持つ。平成12年には東京大学で博士の学位を取得。平成24年から母校である鹿児島大学共同獣医学部の教授となり、後身を指導している。また平成29年には国内の馬科学では最高峰の賞とされる、日本ウマ科学会学会賞を「ウマ呼吸器感染症の病態解明ならびに診断・治療・予防法に関する研究」で受賞している。

 馬、とくにサラブレッドは感染に対する抵抗性が弱いため、肺炎やフレグモーネをはじめとしたさまざまな感染症に罹患するという。感染症の病態把握には稟告に基づく身体検査と臨床検査が主に実施される。臨床検査では抹消血中白血球数が炎症病態の把握のために測定されるが、必ずしも感染症病態の把握には結びつかないとされる。

 講演では、それを補完するために有益な炎症マーカー(血清アミロイドA:SAA)測定の具体的な使用法を紹介。また、後半は肺炎、フレグモーネの具体的な抗菌薬治療法を説明した。