軽種馬生産者のための肢蹄管理技術講習会が開催される
9月25日夜、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階ホールにおいて、軽種馬生産者のための肢蹄管理技術講習会が開催された。
この講習会は公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA)の主催で、NAR地方競馬全国協会の補助を受けて実施している軽種馬経営高度化指導研修事業の一環。当日は日高管内の軽種馬生産者や生産育成技術者研修第45期生などが出席した。
講習会の開催にあたり主催者を代表してJBBA静内種馬場の山本竜太次長は「本日はご多忙のところ、多数のご参加を賜りまして誠にありがとうございます。これまでJBBAの軽種馬経営高度化指導研修事業では、さまざまな分野の研修を行ってきましたが、今回の講習会では肢蹄管理技術講習会と題し、JRA競走馬総合研究所上席調査役の桑野睦敏さま、日本装削蹄協会装蹄教育センター調査役の諌山太朗さま、JRA日高育成牧場専門役の金子大作さまをお迎えして、それぞれ、競走馬の蟻洞の実態について、接着装蹄について考えよう、生産地における3D技術の活用について、と、蹄に関する3つのテーマでご講演をいただきます。みなさまが日ごろ、繋養されている生産馬、繁殖牝馬の蹄の管理という身近なテーマですが、申し上げるまでもなく蹄は馬にとってひじょうに重要です。本日の講演会が、明日以降、みなさまの繋養馬の蹄の管理について、今一度見直していただく機会に、また、すでに蹄の管理に気を配られているみなさまには、さらに一歩進んだ適切な蹄の管理の一助になれば幸いです」とあいさつした。
生産地における3D技術の活用についてを演題に講演した金子専門役は、昭和61年に装蹄師としてJRAに入会。入会後は競走馬総合研究所、栗東トレーニングセンター、美浦トレーニングセンター、馬事公苑、競馬学校、日高育成牧場、宮崎育成牧場で従事し、その後、昨年までの2年間はJBBA静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センターに勤務していた。現在はJRA装蹄師の指導的立場にある。近年は工業分野で著しい進化を遂げていて、医療の分野にも進出しつつある3Dプリンターの技術を、馬の装蹄に応用する研究をしているという。
講演のなかで金子専門役は、幼駒肢勢矯正用の3Dプリントシューの作製検討、クラブフットの1歳に3Dプリントシューを装着した際の経過などを報告。また、3Dプリントシューを蹄負面での負重が困難な現役競走馬への応用した症例、蹄葉炎の疑いがある繁殖牝馬への応用といった症例などを紹介した。