ウポポイオータムスプリントはケイアイターコイズが重賞初勝利
今回で4回目という歴史の浅い重賞競走だが、11月に行われる道営スプリントの前哨戦的位置づけとなるJBC協会協賛「ウポポイオータムスプリント」。昨年はこのレースで上位を独占したスティールペガサス、アザワクの両頭がそのまま本番でもワン・ツー・フィニッシュを決め、一昨年の優勝馬アザワクもこのレースをステップに準重賞を挟んで本番制覇。関連性の強いレースとして認知されつつある。今年は9月14日、午前中から激しい雨が降り続いた門別競馬場ダート1200m(不良)で行われた。
人気の中心は前年の優勝馬スティールペガサス。今シーズンは4月のエトワール賞に勝ち、ダートグレード北海道スプリントC(Jpn3)は地元勢最先着の3着。グランシャリオ門別スプリントでは3歳馬の逃げ切りを許したものの、遠征したクラスターカップでも地方競馬勢最先着の5着と中央、地方の枠を超えた砂の短距離王として君臨する存在になっていた。暑い夏に津軽海峡を越えた遠征の影響を危惧する声もあったが、10日の追切でも坂路で36秒0をマークしてそれを払拭。1.7倍の人気を集めていた。
これに続いたのは、JRAから転入初戦を快勝したケイアイターコイズ。7歳馬とはいえ今年2月にオープン特別を勝っての転入だけに、このレースの結果次第では今後の台風の目となる存在だった。3.9倍。
3番人気は、JRA時代にはリステッドレース2勝含むオープン5勝の実績を持つスマートダンディー。9歳を迎えた今年、ホッカイドウ競馬に転入して初戦のグランシャリオ門別スプリント3着で、クラスターカップ(Jpn3)は5着スティールペガサスから0.3秒差6着。まだまだ衰えのないところを示していた。4.9倍。
単勝オッズ10倍以下はこの3頭で、4番人気は2歳時代に門別競馬場で重賞勝利経験があるスティールルージュの11.1倍。レース前は完全に三つ巴戦の様相だったこのレースを勝ったのは、石川倭騎手が手綱を取ったケイアイターコイズだった。
レースを引っ張ったのは、スタートが上手な小野騎手が手綱を取る4歳牝馬スティールルージュ。ゲートから12.3秒で飛ばしてハナを奪うと11.2秒、11秒7とレースに緊張感を与える。これに「状態は前走から確実にアップしており、今回は自信をもって挑んだ」と石川騎手が言うケイアイターコイズが続く。その後ろにスティールペガサス、スマートダンディー、ウワサノコウタロウら人気馬が併走状態の3番手で続き、大きく離れた最後方にジャスパーシャインという展開。前半3ハロンは35秒2。メンバーを考えれば、それほど速いとは言えないが、動くに動けないような絶妙なラップを刻む。しかし、迷う時間などない電撃のスプリント戦。1番最初に動いたのはケイアイターコイズだった。4角手前から前との差を詰め、残り150m付近でスティールルージュに並びかけるとあっさりと抜け出す。最後2ハロンのレースラップが13秒0、13秒1と落ちなかったことが消耗戦にならなかったレース内容を示しているが、最後は、離れた最後方から35秒5という強烈な決め脚でクビ差2着に追い込んだジャスパーシャインがレースを盛り上げた。勝ちタイムは1分13秒7。終わってみれば、実勢がある馬が強い競馬をしたというレースとなった。