イノセントカップはトラジロウが重賞初挑戦で初勝利
兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)から全日本2歳優駿(Jpn1)という地方競馬の2歳王者決定戦への挑戦者決定戦的位置づけとなったのは全国の競馬主催者のもとに新設されたJRA認定重賞級競走の「ネクストスター」。北海道地区で、その重要なステップレースとなったのが「JBC協会協賛シャンハイボビー賞 第23回イノセントカップ」だ。今年は9月7日、門別競馬場で行われた。
今年は7頭立てながらも2頭の重賞勝ち馬含め、すべての馬が前走で連対を果たしているという好調馬揃いのメンバー。少数精鋭でレベルの高い戦いが予想される1戦となった。
その中で最も多くの票を集めたのが栄冠賞含め3戦3勝のストリーム。どんな位置からでも競馬できる器用さを持ち合わせ、過去3戦はいずれも2着馬に1馬身以上の差をつけての完勝劇。「栄冠賞の後はこのレースを目標にしてきた。間隔は空いているが予定通り。中間も順調に来たので結果を残したい」と田中淳司調教師。1.6倍と、断然の人気を集めていた。
この、不敗の重賞ウイナーに待ったをかけようと挑戦状を叩きつける格好となったのは角川秀樹厩舎の個性派2頭。2戦目の初勝利から3連勝中トラジロウは3.9倍、前走のターフチャレンジで大きく離れた最後方から豪快な末脚を繰り出して勝利をもぎ取っている。「出遅れてしまった前走は、さすがに厳しいと思ったけど、よく頑張ってくれた。追いきりの内容は文句なかったし、前走の内容から期待が持てる」と角川調教師。
サッポロクラシックカップを勝ったオスカーブレインは4.1倍の3番人気。当時、まったくの人気薄だったが、4角で外にヨレ、最後は内にモタれながらも後続を突き離した。
「今までレースでも普段の調教でもあんな癖はみせなかったが、若さを出したのだと思う。テンのスピードがある馬なので枠順にはこだわらない。頑張ってほしい」と送り出している。この3頭が単勝10倍以下で、以下、追い込み鋭いザイデルバストが4番人気で11.9倍。前走2歳オープン戦で逃げてクビ差2着の5番人気モノノフブラックの39.7倍と続いていた。ダッシュ良く飛び出したのはオスカーブレインで、ザイデルバストが出遅れるという予想通りの展開。2番手につけたのはデビュー戦を9馬身差で逃げ切り、2歳オープンの「サッポロ生ビール黒ラベル特別」を先行策から押し切った快足リコーシャーマン。人気のストリーム、トラジロウも差がなく先行グループを形成するも直線に向いてあっさりとオスカーブレインをとらえ、追いすがろうとするストリームを突き放したのは「これまで中身のある競馬をしてきた馬」とテン乗りだった桑村騎手が絶賛したトラジロウ。「スタートが上手で、道中も力むことなく追走できて、狭いところも怯むことなく馬群を割ってくれた」と手応えを感じている様子。角川調教師も「使うたびに成長を感じさせてくれたのでチャンスはあると思っていた。この勝ち方なら(ネクストスター門別に向けて)期待が高まる」と満足そうに振り返った。