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王冠賞はベルピットが史上7頭目の三冠達成

  • 2023年09月04日
  • 「ほっとしました」と桑村騎手
    「ほっとしました」と桑村騎手
  • 厳しい展開を余儀なくされたが最後は5馬身の圧勝劇だった
    厳しい展開を余儀なくされたが最後は5馬身の圧勝劇だった
  • 史上7頭目の三冠馬となったベルピット
    史上7頭目の三冠馬となったベルピット
  • 昨年に続く連覇で王冠賞2勝目の桑村騎手
    昨年に続く連覇で王冠賞2勝目の桑村騎手
  • 三冠ボーナス2,000万円を手にした関係者
    三冠ボーナス2,000万円を手にした関係者

 ホッカイドウ競馬の3歳三冠競走最終戦「JBC協会協賛サトノクラウン賞第44回王冠賞」が8月29日、門別競馬場で行われ、北斗盃、北海優駿と圧倒的な強さで勝ち進んだ日高町の厚賀古川牧場生産で1番人気ベルピットが2着以下に5馬身差をつける1分55秒2で優勝。1981年トヨクラダイオー、99年モミジイレブン、01年ミヤマエンデバー、10年クラキンコ、19年リンゾウチャネル、21年ラッキードリームに続く、2年ぶり7頭目のホッカイドウ競馬三冠馬となった。

 レース前、人気の中心は、言うまでもなく三冠を狙うベルピット。内回り1600mの北斗盃を7馬身差で制し、外回り2000mの北海優駿はやや折り合いを欠きながらも3馬身差。外回り1800mで行われる今回はコース、距離ともに不安はなく、また初顔合わせとなる強力なライバルも不在ということもあって12頭立てではあったが、最終的な単勝オッズは1.1倍と圧倒的な支持を集めていた。2番人気は北斗盃2着、北海優駿2着のニシケンボブで5.8倍。単勝オッズ10倍以下はこの2頭だけ。レースの前は一騎打ちムード以上と見る向きが多かった。

 しかし、レースは三冠を阻止しようというライバルたちから厳しいマークにあい激しいものとなった。ベルピットという馬は逃げなくても競馬ができるが先行力が武器。その武器は北海優駿がそうだったように時として強すぎる前進気勢となる場合がある。ベテランの宮崎騎手が手綱を取るディーエスエールがベルピットのハナを叩き、ニシケンボブの石川騎手がぴったりと外に馬体を併せたことで、ベルピットは口を割る。

 結果、前半4ハロンは13.0~12.0~12.5秒~11.7秒と息が入るはずの1~2角でもペースが落ちずに3頭は、ほぼ横並びのままハイラップを刻む。前半の半マイル通過が49.2秒。このペースは、距離は200m違うものの先のブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)でJRA所属の古牝馬テリオスベルが刻んだラップが50秒だったから、かなり速い。

 向こう正面に入ると、まずニシケンボブが下げて、ベルピットも落ち着きを取り戻したように見えたが、先頭を行くディーエスエールはお構いなしに飛ばす。レースが動き始めたのは3角過ぎ。角川調教師が「最大の武器は心肺機能」というベルピットが息を吹き返してディーエスエールを呑み込んで先頭に。最後2ハロンを13.8、13.8秒と数字を落とさなかったのが王者のプライドだ。追いすがるニシケンボブにはもう余裕がなくなっていたが、それでも離された2着を確保。3着には後方で脚を貯めていたズンガリプテルス。終わってみれば北海優駿の上位3頭が、着順もそのままに上位を占めた。

 勝ったベルピットはこれで通算成績を10戦8勝2着2回(重賞5勝)。角川調教師は2年連続王冠賞制覇で通算6勝目となった。「昨年から、三冠を狙っていました。勝ててほっとしました」という桑村騎手の表情からは計り知れないプレッシャーが想像できた。圧倒的な強さで三冠ロードを駆け抜けたベルピットの次走はチャレンジャー。ダービーグランプリで世代の頂点を目指す。