ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)はテリオスベルが勝利
2023年夏のケイバ祭りの最終日を飾るのはダートグレードの「ブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)」。近畿地方を縦断し、中国地方や近畿、東海などに大きな被害をもたらした台風7号の影響が心配されたが、レース当日の8月17日には日本海を北上して温帯低気圧に変わり、この日の馬場コンディションは「晴れ、やや重」馬場。
グランダムジャパンの古馬シーズン、そしてカウントアップシリーズの対象レースにもなっているブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)は1989年に創設。当時は牡馬混合のダート2400m戦。記念すべき第1回目はフェートノーザンの名前が記されている。それから08年までは旭川競馬場の2300m戦で、09年から門別競馬場の2000m戦と徐々に距離が短縮され、14年からは牝馬限定競走となり、21年はマルシュロレーヌがこのレースをステップに米国ブリーダーズカップディスタフ(G1)を制し、昨年の優勝馬グランブリッジは今年に入ってダートグレードを2連勝。出世レースとしても位置づけられるようになった。
今年は他地区からの遠征がなくJRA所属馬5頭と地元馬3頭と寂しい頭数になったが、それでもJBCレディスクラシック(Jpn1)の前哨戦としては目が離せない1戦となった。
人気の中心となったのはデビューして4戦目に関東オークス(Jpn2)を制して意気上がる3歳馬のパライバトルマリン。500kgを超える大型牝馬で重賞初挑戦となった関東オークス(Jpn2)は初めて経験するナイター競馬で、初めて経験する距離。加えて過去2勝がいずれもハナを切る展開だったが、この日は2番手からという苦しい展開だったが、それらをあっさりとクリア。底を見せていない強さが魅力の1頭だ。そうした若い世代の前に立ちはだかったのは昨年の本レース2、3着馬。勝ったグランブリッジにクビ差まで迫ったプリティーチャンスは、その後レディスプレリュード(Jpn2)に勝ち、JBCレディスクラシック(Jpn1)5着。3着テリオスベルも地方競馬場で行われるダートグレードの常連として、これまで10戦して【1-4-2-3】という堅実派。過去34回(遠征が可能だったのは33回)の歴史の中で32勝と圧倒しているJRA勢が人気を集めていた。
ハナを主張したのはテリオスベル。ダッシュ力は持ち合わせないものの、ゆっくりと加速する同馬の逃げはディーゼルターボ車を連想させるもの。「去年は不良馬場で持ち味を十分に生かすことができなかった。今日のようなタフな馬場は得意」という江田騎手が出ムチを入れ、そして押して押してゆっくりと先頭に立つ。「絶対にハナは譲らない」と言わんばかりの気迫に押されたかのようにパライバトルマリンが2番手に控えたあとは、まさにひとり旅。前半の半マイルが50.0秒で、1000m通過は62.5秒。向こう正面に入っても12秒台のラップを刻むテリオスベルに絡もうという馬はなく、むしろ後続が追走に苦労するほど。余裕たっぷりに4角を回ると、そのまま4馬身のリードを保ったままゴールへと飛び込んだ。「ずっと乗せてもらっていたので結果を出せて嬉しい」と笑顔でインタビューに答えていた。
2着にも2番手を進んだパライバトルマリンがそのまま流れ込み、3着には後方から追い込んだカラフルキューブ。今年もJRA勢力が上位を独占する結果となったが、ウワサノシブコが5着に入ってわずかだが地元勢の意地を見せた。
勝ったテリオスベルの田島俊明調教師は「去年は不良馬場の内枠で、今年は外枠だったことで自分の競馬ができた。オーストラリア産の白い砂はクイーン賞(Jpn3)を勝った船橋競馬場と同じ。相性が良いね」とにっこり。「気持ちの強い馬で、優れた心肺機能がこの馬の持ち味。このあとは状態次第。オーナーと相談しながら次の目標へと向かっていきたい」とコメントしている。