旭岳賞はイダペガサスが重賞2勝目を飾る
4月19日に開幕したホッカイドウ競馬の2023年シーズンも今日で45日目。折り返し地点を過ぎて11月9日の道営記念、もしくは8日の道営スプリントへと加速度を増す。8月16日に行われた旭岳賞は昨年までは道営記念へと向かう馬のステップレースとして位置づけられて2000mで行われてきたが、今年から内回りコースの1600m戦へと変更。“両睨み”ができるレースとなったことから、出走メンバーも中距離を使われてきた馬とスプリント路線を歩んできた馬が混在するレースとなった。
スプリント路線から挑む馬が約半数を占めることとなり、結果、ハイペースが予想される組み合わせ。人気を集めたのは中距離路線を歩んできた馬たちだった。1番人気は鋭い決め手を持つ9歳馬ビービーガウディ。JRA時代はダート1600から1800mで3勝を上げ芝2300mでの勝利経験もある。南関東の高額条件戦も4勝。9歳を迎えた今年、ホッカイドウ競馬へと移籍して4戦2勝。1戦毎に門別の水にも慣れ、前走のモーリスプレミアム1800m戦を3馬身差で圧勝していた。3.1倍。
2番人気は軽快な逃げ脚を武器にシルトプレの三冠を阻止したエンリル。ライバルのシルトプレがJRAの重賞エルムS(G3)で好走したことを思えば今年に入ってからの成績はやや物足りなさを感じさせるものかもしれないが、それでも王冠賞に勝ち北斗盃2着、北海優駿4着。その実績から4.1倍の人気を集めた。昨年、同じ1600m戦の重賞「星雲賞」を勝ったグリントビートが5.4倍で続き、単勝オッズ10倍以下が5頭という混戦ムードだったが、レースは幕開けから波乱となった。
エンリルがゲートを潜ろうとした瞬間に 前の扉が開いたため桑村騎手が取り残されるようにカラ馬でロケットスタート。これでペースを崩されたのはハナ宣言をしていたイッツクールで、出鼻をくじかれて戸惑う同馬をホウヨウクリスタルが交わし、さらにマイネルシスネロスとグレイトダージー、グリントビートが先行集団を形成。前半の半マイル通過は50.1秒で、1000m通過は63.0というハイペース。先行集団から5馬身ほど離れてグリントビートが後続グループの先団でチャンスをうかがい、ロフティフレーズとスティールストームがこれをマークするような位置。その後ろに「必ずペースは速くなるから折り合いに注意して、馬のリズムを大切に」という落合騎手のイダペガサスがスコルピウスを前に見ながら前を追い、人気のビービーガウディは後方で脚を溜めるような展開。
内回りコースの勝負処は3角手前。ここでグリントビートが先頭に立ち、それを追うように内からグレイトダージー、外スティールストーム。さらに外からイダペガサスとビービーガウディが襲い掛かる中、力強く脚を伸ばしたのは単勝23.3倍7番人気のイダペガサスだった。「道中は余裕がなかったが、追い出したらしっかりと反応してくれた。内回りで馬も大変だったと思うが、最後まで本当によく頑張ってくれた」と馬を称えた落合騎手。田中調教師は「瞬発力タイプというよりも長く良い脚を使えるタイプ。強い追い風の中、3角手前から早めに仕掛けたタイミングもよかった」と鞍上をほめた。
2着にはレースを支配したグリントビートが貫録を示し、3着はグランシャリオ門別スプリント2着の実績があるグレイトダージー。終わってみればスプリント路線組が上位に多く食い込む結果となった。
「これまでのキャリアから1200mよりも1400~1600mの方がレースをしやすいと思っていた。全国の中からこの馬に適した番組を探します」と全国行脚を示唆した田中調教師。8歳を迎えてもまだ衰え知らずのイダペガサスのますますの活躍に期待したい。