星雲賞はサルトアンヘルが重賞初制覇
8月15日から3日連続で行われたホッカイドウ競馬門別競馬場「夏のケイバ祭り」の初日を飾ったのは、今年から3歳馬限定のスプリント重賞として生まれ変わった「第20回 星雲賞」(JBC協会協賛ノーブルミッション賞)。
この日はホッカイドウ競馬2023公式アンバサダーを務める元プロ野球選手の杉谷拳士さんも来場してキャッチボールイベントやトークショーなどを行うなどイベント盛りだくさん。1.700人を超える来場者が足を運んでグッズ抽選会や特産品フェア、子ども縁日や出店キッチンカーなどを楽しんだ。
そして迎えたメイン競走。持って生まれた個性を生かそうとスプリント路線に舵を切った馬たちによる電撃の6ハロン戦。
7頭立てと寂しい頭数になったものの、今年に入ってから7戦6勝。現在6連勝中の快足ブリックロードが1.8倍とやや人気を集めたが、昨年のエーデルワイス賞(Jpn3)4着のあと5戦4勝のサワヤカローズも3.9倍。さらには北斗盃3着で、その後は古馬相手にも健闘を続けているシーサーペントが5.9倍。2歳時にはオープン競走での勝利経験がありJRAからの遠征帰りになるジョルジュも9.0倍と10倍を切る人気を集め、馬券を買うファンが悩んでいることがわかるオッズとなっていた。
最も早くゲートを飛び出したのは最低人気のディオスメッセージ。まだ1勝馬ながらも昨年5月のスーパーフレッシュチャレンジ競走を1番人気で制した素質馬で1200mのウィナーズチャレンジ競走でも2着の実績を持つ馬だ。冬場は兵庫に遠征し兵庫ユースカップ4着と健闘した。そのディオスメッセージを交わしてレースを引っ張ったのはシーサーペント。これに人気を背負ったブリックロードが絡んでいってペースは自然と速くなった。12.1秒~10.9秒~11.4秒と速いペースでレースを引っ張る。このハイペースに2番人気のサワヤカローズは序盤からついていくことができず小野騎手が激しく手綱を動かして馬を促していくが、人気薄の気楽さも手伝ってディオスメッセージの阿部騎手は逆にマイペースを貫いて最後方まで馬を下げる。こうした動きに惑わされず、虎視眈々とチャンスを狙っていたのはベテランの服部騎手が手綱を取るサルトアンヘルだった。今年に入ってからは長い距離を使われていたが、1200m以下で3連勝。ノースクイーンCのあと久しぶりの1200m戦となった前走は岩橋騎手が騎乗して3着だったが、思い切った最後方待機策から出走メンバー最速タイの末脚で追い込んでおり、短距離戦線へのシフトにめどが立つ内容だったが、最後の直線で外に持ち出されると力強く伸びてインから迫るディオスメッセージをアタマ差抑え込んでキャリア11戦目、4度目の重賞挑戦で初の重賞タイトルに輝いた。
「前走の脚を信じて乗った」と服部騎手。「前走の競馬で岩橋騎手が後方から追い込む競馬を教えてくれたことがこの結果につながった」と自厩舎の後輩ジョッキーを立て、「サルトアンヘルは距離に関しては短距離一辺倒ではないと思う」とコメント。豪快な末脚を武器とする個性派の今後が楽しみだ。