新ひだか町でシンポジウムが開催される
7月13日、JRA日本中央競馬会は、新ひだか町静内吉野町にある静内エクリプスホテル2階エクリプスホールにおいて、第51回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウムを開催した。
シンポジウムには全国各地から獣医師や牧場関係者が出席。開催にあたり菊田淳JRA馬事担当理事は「本日はお忙しいなか、たくさんの方にお集まりいただきましてありがとうございます。生産地におかれましては、競馬産業の根幹となります、軽種馬の生産、育成に携わっていただいておりますことに対し感謝申し上げます。また、生産地におきましては、リスクマネジメントとして予防接種の推進事業、馬伝染性子宮炎蔓延侵入防止事業、生産地疾病等の調査研究など、先生方には日頃から、多大な協力いただいておりますことを、この場をお借りいたしまして、改めてお礼申し上げます。今回、第51回となりますシンポジウムですが、アメリカのデルピエロ先生から、ご講演していただきます。なかなかない機会でございます。今回、この講演ができるようになりましたのは、競走馬総合研究所の越智研究役が1年間ですね、デルピエロ先生のところに留学したということで、デルピエロ先生がぜひ日本で講演したいと実現しました。ほかにも生産地で遭遇する疾病に対する病理診断、JRAからのお知らせ、一般講演として専門の先生からのご講演を予定しております。最新の知見に関することでございますので、わたしもひじょうに楽しみにしております。年に1回しかないシンポジウムでございます。生産地の獣医学の発展、生産界のレベルアップを目指していただければとおもいます」とあいさつした。
シンポジウムでは最初に特別講演として、ルイジアナ州立大学獣医学部獣医病理学担当教授であるファビオ・デルピエロ先生が「Abortion and Perinatal Death in Horses/ Pathology of Foal」を演題に登壇。デルピエロ先生は、スライドと動画を用いて、馬の流産と周産期死亡、子馬の病理などについてくわしく説明した。
続くシンポジウムでは、「生産地で遭遇する疾病に対する病理診断」をテーマに、専門家が講演。JRA競走馬総合研究所の上野孝範氏を座長に、北海道日高家畜保健所の佐藤陽輔氏が「2014年度以降の日高管内における馬異常産について~病理学的所見~」、酪農学園大学の松田一哉氏が「周産期および仔馬の肺病理」、NOSAI北海道の水口悠也氏が「当歳馬の急性間質性肺炎:超音波、X線画像と病理所見の対比」、JRA競走馬総合研究所の越智章仁氏が「ウマの腸炎」について、それぞれ解説した。
一般講演は日本軽種馬協会の関一洋氏を座長に、4名の専門家が講演。社台ホースクリニックの鈴木吏氏は「全身麻酔下での難産介助方法の評価~4つの術式の成績比較~」、NOSAI北海道の水口悠也氏が「繁殖牝馬の子宮頸管裂創に対する経直腸超音波検査による診断の試み」、NOSAI北海道の小笠原慶氏が「馬のジノプロスト(PGF2α)による発情回帰成績」、JRA栗東トレーニング・センターの井上佳織氏が「心房細動における体表心電図を用いたf波のFFT周波数解析の検討および心房細動停止との関連性」を演題に、それぞれレクチャーした。