栄冠賞は1番人気ストリームが3連勝で重賞初勝利を飾る
日本国内で最も早く行われる2歳重賞「第48回栄冠賞(モズアスコット賞)」が6月27日、北海道の門別競馬場で行われ、3番手を進んだ岩橋勇二騎手騎乗の1番人気ストリームが最後の直線で外から力強く脚を伸ばして優勝。5月18日のデビュー戦、6月8日のウィナーズチャレンジ競走に続く3連勝で世代初の重賞ウィナーとなった。
父ダノンレジェンド、母メイショウブルックという血統で、浦河町の三嶋牧場生産馬。同牧場の三島昌春氏がオーナーとなっている。
近年では最も少ない8頭立てとなったが、2021年生まれ世代の1番星をかけた争いは、激しいものとなった。
ハナを切ったのは5月のフレッシュチャレンジ競走を逃げ切っているオスカーブレイン。前走のウィナーズチャレンジ同様にレースを引っ張る。2番手はデビュー前の能力検定初日に49秒1をマークして注目されていた2番人気カプセル。素質馬が揃うスーパーフレッシュチャレンジ競走は「距離不足を承知で」という挑戦で3着と敗れたが、今回と同じ距離のアタックチャレンジ競走を好タイムで勝ち上がってきた馬だ。この2頭が前半3ハロンを34秒6で引っ張る。前走のウィナーズチャレンジがやや重馬場で34秒9だったことから、かなり速い。やや離れた3番手、4番手には「前走のウィナーズチャレンジは叩き台のつもりだったが良い内容で勝ってくれた」というストリームと、「前走2着で力のあるところを再認識できた」という3番人気キタサンヒコボシ。「前走の敗因は後方からの競馬になったこと」と角川調教師が話し、先行すると思われたスティールマジックは後方で桑村騎手の手が激しく動いている。
レースが動いたのは4角手前。それまでインコースでじっと息をひそめるように足をためていたストリームが、前を行く2頭を射程圏内に収めようと外に持ち出される。レース後のインタビューで「抜け出すのがちょっと早かったかもしれない」と頭をかいた場面だが、直線に向くと鞍上の右ムチに応えるように重心を下げて加速。前を行く2頭をあっさりとかわして先頭ゴールインを果たしている。「普段はやんちゃなところもあるけれども、レースに行けば冷静に走ってくれる馬。抜け出してから気を抜くようなところもあったようにまだこれからの馬、出会えて良かったと思っているし、前から目標にしていた栄冠賞を思い入れのある馬で勝てたことは本当に嬉しい」と笑顔。田中淳司調教師がいう「この馬の良いところは砂をかぶっても平気なところと、短い距離でもしっかりと足を使ってくれるところ」というストロングポイントを十二分に引き出した好騎乗が愛馬を勝利へと導いた。2着にはさらに外から追い込んだスティールマジックが入り、先行したカプセルは3着。キタサンヒコボシは5着だった。勝ちタイムは1分14秒6(良)。
ダート三冠競走へと向かう戦いの火ぶたが、切って落とされた。