BTC調教場開場30周年記念特別講演会が行われる
6月20日、浦河町大通にある浦河町総合文化会館3階ふれあいホールにおいて、BTC調教場開場30周年記念特別講演会が開催された。この講演会は、公益財団法人軽種馬育成調教センター(草野広実理事長)とBTC利用者振興会(谷川寿郎会長)の主催でJRA日本中央競馬会が後援。講師にはJRA調教師の矢作芳人氏が招かれた。
BTC調教場は世界に通用する強い馬づくりを目指し、1993年10月7日に開場。開場初日は5牧場で17頭の利用だったが、30年を経過した現在の利用登録牧場は41牧場、これまでで最も多い一日の利用登録頭数は787頭を数えるまでになった。利用馬の昨年の競走成績は、中央、地方、海外重賞を合わせて4001勝を記録したという。
講演会には谷川会長をはじめとしたBTC利用者振興会会員、草野理事長をはじめとしたBTC職員、浮島理場長をはじめとしたJRA日高育成牧場職員、BTCの育成調教技術者養成研修第41期生、JBBA日本軽種馬協会の生産育成技術者研修第45期生など約160人が出席。主催者を代表して小林光紀BTC業務部長は「本日はお忙しいなかお集まりいただきましてありがとうございます。本日ご講演いただく矢作芳人調教師は昨年度のJRA賞におきまして、3年連続5回目の最多勝利調教師、4年連続4回目の最多賞金獲得調教師を受賞されております。また、無敗の三冠馬コントレイルを管理されたほか、本年2月には1着賞金約13億円のサウジC(G1)を、BTC調教場利用牧場のシュウジデイファームさまが育成調教したパンサラッサ号で制したというのは、みなさまの記憶に新しいところではないでしょうか。そのほか、国内はもとより、アメリカ、香港、オーストラリア、ドバイと世界各国でG1を制しております。まさに世界に通用する強い馬づくりを実践してらっしゃいます。本日は、これからの競走馬育成に求められるもの、と題しましてご講演をいただきます」とあいさつした。
矢作氏は厩舎を開業してからの経営戦略やレース選択、人材育成、人心掌握術などを披露。出席者から寄せられた「関わってきたなかで一番思い入れのある馬は?」、「よく稼ぎよく遊ぶというスローガンが好きなのですが、厩舎スタッフの勤務体制や仕事の進め方で特別な取組みなどはされていますか?」、「騎乗馴致に要望することは?」、「レースで完全燃焼した馬(精神的にも肉体的にも)というのはどんな状態ですか?その後の馬生にどんな影響を与えますか?」、「トレーニングセンターでよく使われるコースは?」、「日本馬が凱旋門賞(G1)を勝つために、ずばり何が必要ですか?」といった質問にも答えた。
最後に矢作氏は集まった出席者へ「ホースマンとしてしっかりとした夢をもってやってほしいというのが自分の一番の気持ちです。目標を高く、限界を決めない。もっともっとチャレンジして大きな夢をもってホースマン生活を全うしてほしいし、一緒に競馬というものをもっともっとメジャーにしていきたい。若い力が必要です。しっかりとしたホースマンとしていい仕事をしてください」とエールを送った。