馬産地ニュース

北原広之氏の講演会が行われる

  • 2023年06月26日
  • サラブレッドの可能性を訴える北原広之氏
    サラブレッドの可能性を訴える北原広之氏
  • 主催者を代表してあいさつする谷川貴英日高軽種馬農業協同組合副組合長理事
    主催者を代表してあいさつする谷川貴英日高軽種馬農業協同組合副組合長理事
  • 約160人が出席した講演会
    約160人が出席した講演会

 6月22日、浦河町大通にある浦河ウエリントンホテル2Fウエリントンホールにおいて、東京2020オリンピックの馬場馬術に出場した、JRA日本中央競馬会馬事公苑上席調査役の北原広之氏による講演会が開催された。

 この講演会は、ひだか東農業協同組合、日高軽種馬農業協同組合、日高地域人材開発センターの主催。講演会には日高や胆振の牧場関係者をはじめ、乗馬愛好家、JRA日高育成牧場職員、軽種馬育成調教センターの育成調教技術医者養成研修第41期生、日本軽種馬協会の生産育成技術者研修の第45期生など約160人が出席した。

 講演会では主催者を代表して谷川貴英日高軽種馬農業協同組合副組合長理事が「こんなにたくさんの方々が参加していただけるということで、これからの日高の馬産にすごく期待のもてる感じだとおもっています。これだけたくさんの人が興味があるということは、ほんとにうれしいことでありまして、ノーザンファーム、社台ファームといった社台グループの活躍が目につきますけども、少しでも追いつけるように、日高が頑張れるような感じがしました。北原さんはご案内のとおり、全日本馬場馬術において3連覇を成し遂げ、馬場馬術界においては知らない人はいないということでありまして、やはり、馬場馬術というのは競馬の馬のほんとの基本というところでありまして、たとえばハロン20秒くらいで走ってくる馬がいるとするならば、馬場馬術を知ってる人とまったく知らない人では、馬を動かせる能力がまったく違うという、同じ速さでも運動量がまったく違うとおもっています。今日のご講演をみなさん聞いていただいて、明日からの調教に励んでいただければとおもいます。これからの日高の生産馬を、みなさまの愛馬の活躍を、祈念いたします」とあいさつした。

 講師を務めた北原氏は1971年生まれの東京都出身。1978年から東京都世田谷区にあるJRA馬事公苑で弦巻騎道スポーツ少年団に入団し乗馬を始めた。1989年の高校生のときには浦河町で開催された第44回国民体育大会(はまなす国体)に出場して少年の部馬場馬術PARTⅡに優勝。その後、明治大学に入学すると1994年の全日本学生大会馬場馬術競技で個人優勝した。1995年にJRAに入会し中俣修氏に師事。1999年から2年間のドイツ留学を経て2004年から2006年には全日本馬場馬術選手権大会3連覇の偉業を達成した。2010年にはアメリカケンタッキー州で行われた世界馬術競技に出場。そして東京2020オリンピック大会馬場馬術競技に日本代表として出場するなど輝かしい実績を残している。

 「サラブレッドの可能性とセカンドライフ」と題した講演で北原氏は、毎年7000頭ほど生産され5000頭が引退していくサラブレッドの生涯、引退競走馬のセカンドライフとしては、レジャーホースとしての乗用馬、馬術競技としての乗用馬、セラピーホース、教育用の乗用馬、野馬追などがあること、JRAが競走馬のリトレーニングを本格的に展開していること、サラブレッドの馬場馬術調教例、馬術や馬事伝統芸能などにおけるハミや馬装具の規制、傷や出血による失格、東京2020近代五種での馬殴打事件、三重県桑名市での馬上げ祭りを例にとった馬の福祉(ホースウェルフェア)について説明。最後に「これからは馬の福祉を最重要事項ととらえて、馬を扱っていく必要性がある。みなさまとは競走馬引退前と引退後とやり方は違うにせよ、目指すところ、馬の可能性を引き上げていく部分では共通しているとおもいます。馬の能力を最大限に発揮できるような乗り方ができる乗り役になれるように、みなさんと一緒に努力していきたいです」と話した。