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赤レンガ記念はハセノパイロが勝利

  • 2023年06月26日
  • テン乗りで愛馬を勝利に導いた服部騎手
    テン乗りで愛馬を勝利に導いた服部騎手
  • 3連勝で伝統の重賞レースを制したハセノパイロ
    3連勝で伝統の重賞レースを制したハセノパイロ
  • 東京ダービー馬の復活Vが23年ホッカイドウ競馬を盛り上げる
    東京ダービー馬の復活Vが23年ホッカイドウ競馬を盛り上げる
  • 16度目の挑戦で赤レンガ記念初勝利に笑みがこぼれる服部騎手
    16度目の挑戦で赤レンガ記念初勝利に笑みがこぼれる服部騎手
  • 2018年東京ダービー以来の重賞制覇
    2018年東京ダービー以来の重賞制覇
  • 桧森調教師(左端)にとっては95年マサノチャーミング以来2度目の赤レンガ記念制覇
    桧森調教師(左端)にとっては95年マサノチャーミング以来2度目の赤レンガ記念制覇

 道営記念を頂点とするホッカイドウ競馬の古、長距離重賞の第2弾はJBC協会が協賛する「カウントアップチャレンジ2023」にも指定されている「第60回赤レンガ記念」。今年はコスモバルク記念を勝った王者シルトプレこそ不在で9頭立てとなったものの、道営記念2連覇を目指すサンビュートに、昨年の王冠賞でシルトプレの三冠を阻んだエンリル、コスモバルク記念2着ドテライヤツなどが顔をそろえ、6月22日に門別競馬場で行われた。

 戦前から混戦が予想された1戦。その中で1番人気の支持を集めたのは冬場の南関東遠征から戻ってきたサンビュート。南関東では勝ち鞍こそ上げられなかったが報知オールスターカップは3着。金盃も7着とはいえ勝ち馬から0.6秒差で、前走の皐月盃は隣の馬がスタート直後に落馬。4角ではカラ馬に気を使いながらもゴール前まで見せ場を作っており、砂は変わったものの得意とする門別に戻って、多くの期待票を集めた。2.3倍。

 2番人気は昨年の道営記念6着でコスモバルク記念3着のエンリル。2000mの距離で勝利経験はないものの、いずれもシルトプレから早めにプレッシャーを受けて戦意を喪失したようなレースだった。今シーズン初戦のナダル・プレミアムでは2着以下に2馬身差をつけて完璧な逃げ切り勝ちを収めている。2.9倍。

 3番人気ドテライヤツは昨秋の瑞穂賞優勝であっと言わせたが、南関東から転入後の3戦目から13戦連続して掲示板を外していない堅実派。今では道営競馬の中、長距離路線では主役を張れる1頭だ。3.8倍。単勝オッズで10倍を切ったのは、この3頭のみ。三つ巴戦というのが、大方の見方だった。

 しかし、勝ったのは、かつての東京ダービー馬で8歳となった5番人気ハセノパイロ。昨年の瑞穂賞は10番人気2着。8番人気ドテライヤツとの組み合わせは馬連複で2万5,000円を超える波乱の立役者となった馬だ。今シーズンは、その瑞穂賞との比較では馬体重22kg増で出走したナダル・プレミアムは見せ場なく敗れたものの、その後は体を絞って特別戦を2連勝。この日はさらに10kgほど体重を落としての挑戦だった。

 レースはいつものように先手を取ったエンリルにフライオールデイズ、ゼンノジャスタが絡んで超がつくようなハイペース。砂が変わっているのでラップの比較はできないが、向こう正面では先頭からしんがりまでは20馬身以上はあろうかと縦長の展開。サンビュートはちょうど中団5番手で、先頭からは12~13馬身。それを見るような位置に「とにかく馬のリズムを邪魔しないように走らせようと、それだけを考えていました」という服部騎手が手綱を取ったハセノパイロが続く。まず3角手前でゼンノジャスタが失速すると、後続が一気に差を詰めてくる。前を行くエンリルとフライオールデイズが馬体を併せて4角を回るが、すでに手応えはない。勝負を分けたのは人気の有無だったか。人気薄の気楽さも手伝って「馬の行く気に任せた」という服部騎手と、人気を背負っているゆえに外を回さざるを得なかったサンビュート。エンリルが残り200mまで先頭を守り通したのは意地とプライドだったのかもしれないがくびをぐっと下げた独特なフォームで先頭ゴールインを果たしたのはハセノパイロだった。

 「厩舎関係者がしっかりと仕上げてくれて、馬が一生懸命に走ってくれた。感謝です」と服部騎手。ホッカイドウ競馬最高の名誉をかけた戦いは、まだ始まったばかりだ。