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北海優駿はベルピットが三馬身差で二冠達成

  • 2023年06月19日
  • 2020年アベニンドリーム以来4回目のダービータイトルに輝いた桑村騎手
    2020年アベニンドリーム以来4回目のダービータイトルに輝いた桑村騎手
  • ルーキーの阿岸騎手もダービー初参戦
    ルーキーの阿岸騎手もダービー初参戦
  • 独走態勢のベルピット(左端)。追ってくるのがニシケンボブ(左から2頭目)
    独走態勢のベルピット(左端)。追ってくるのがニシケンボブ(左から2頭目)
  • 第51回北海優駿を制したベルピット
    第51回北海優駿を制したベルピット
  • 「次はもっと良いパフォーマンスをお見せしたい」とさらなる飛躍を誓ったインタビュー
    「次はもっと良いパフォーマンスをお見せしたい」とさらなる飛躍を誓ったインタビュー
  • 喜びの関係者。左から2人目が桑村騎手
    喜びの関係者。左から2人目が桑村騎手

 2歳競馬中心といわれるホッカイドウ競馬だが、やはり3歳三冠路線は格別だ。しかし、まだ詳細は発表されていないものの、来年は6月上旬にJpn1格付けとなる東京ダービーが行われる関係で、北海優駿がその影響を受ける可能性も否定できない。それぞれが特別な思いを胸に挑んだ「北海道ダービー」。今年はその歴史に刻まれるような名勝負が15日、門別競馬場2000mの舞台で繰り広げられた。

 人気の中心は三冠競走第1弾「北斗盃」を圧倒的なスピードで制したベルピット。今シーズン初戦となった3歳馬限定特別では昨年のブロッサムカップ2着馬を相手に8馬身差で制し、前走の北斗盃は7馬身差。レース後に角川秀樹調教師が「勝って当たり前という雰囲気だった」と苦しかった胸のうちを語っていたが、多くのファンは一昨年のラッキードリーム、昨年のシルトプレに続く二冠馬誕生に期待していた。最終的な単勝オッズは1.1倍。

 しかし、初めて経験する2000mという距離に加え、南関東から東京ダービートライアル2着キングオブザナイルが刺客として参戦。豊富なキャリアを武器に北斗盃からの逆転を狙うニシケンボブに、JRA1勝クラスで入着経験があり、門別競馬場では4着以下なしのズンガリプテルス、さらには昨年の平和賞優勝馬プルタオルネも古馬相手のB級特別で2着するなど一時の低迷を脱出しつつあり、伏兵多数の9頭立て。レース後、開口一番「人気に応えることができてよかった」と言った桑村騎手の表情からもディフェンディングチャンピオンとして苦しい立場にいたことが伺えた。

 レースを引っ張ったのは昨年のリーディングジョッキー落合玄太騎手に手綱がゆだねられたキングオブザナイル。大外枠からスタートしたベルピットが、やや口を割りながらこれを追う。離れた3番手をズンガリプテルスが進み、ニシケンボブは後方のインをキープ。砂が入れ替わったために昨年までとラップの比較はできないが、前3頭が引っ張るペースが速いことは追走でいっぱいになる馬たちが多かったことからも理解できる。

 こうしたペースに、最初に苦しくなったのはキングオブザナイルだった。3角手前から落合騎手の手が激しく動き、その横を「この馬の最大の長所は心肺機能」という桑村騎手が“持ったまま”で先頭に。そうなれば、心折れた先行勢は苦しくなる。こうした動きを見逃さなかったのがペース判断に長けた石川騎手が手綱を取ったニシケンボブ。一気にポジションを上げて2番手に。しかし「抜け出してからは遊んでいた」というベルピットは遥か先を走っており影すら踏むことはできなかった。北斗盃から着差は詰まったものの、3着以下は大差。ベルピットの強さだけが印象に残るレースとなった。勝ちタイムは2分7秒9(やや重)

 「(外枠を引いたため)前に壁が作れずハミを噛んでしまい、ジョッキーは苦労したと思うが、それでも勝ったように能力は抜けていると思う。このあとは王冠賞で三冠を狙う」と角川調教師。北の大地から全国へ。「まだまだ伸びる馬。今日以上のパフォーマンスを見せられるように」と誓った桑村騎手とベルピットのコンビに期待したい。