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社台ホースクリニック開院式が行われる

  • 2023年06月08日
  • 新築移転した社台ホースクリニック
    新築移転した社台ホースクリニック
  • あいさつする吉田照哉社台ファーム代表
    あいさつする吉田照哉社台ファーム代表
  • テープカットで盛大に開院を祝った
    テープカットで盛大に開院を祝った
  • 日本に初めて導入されたCT検査装置
    日本に初めて導入されたCT検査装置
  • 10馬房ある入院厩舎
    10馬房ある入院厩舎

 5月25日、苫小牧市植苗にある(有)社台コーポレーション社台ホースクリニックの開院式が行われた。

 

 社台ホースクリニックは、社台ファームの創業者である吉田善哉氏(故人)が、社台ファーム空港(現ノーザンファーム空港)内に1992年に開業。生まれたての子馬から現役競走馬、繁殖生活を送る母馬、種牡馬まで、すべてのライフステージを対象とした馬専門の総合医療施設として知られ、腹腔鏡手術、関節鏡手術、内固定手術、喉頭形成術などの外科手術を行っている。年間手術頭数は約700頭で、研修獣医師や学生の受け入れ、多くの学術研究発表を行い、積極的に業界の底上げに携わってきた。

 

 開業以来、増築、改築を繰り返してきた施設が手狭になってきたことや利便性を考慮し、開業から約30年の節目を迎えた今年、JR千歳線植苗駅から約900m、新千歳空港から約10km、道央道の新千歳ICから約14km、苫小牧東ICから約12km、日高道の沼ノ端東ICから約8km、安平町早来源武にある社台スタリオンステーションとノーザンファームから約9km、安平町追分向陽にある追分ファームから約24km、千歳市東丘にある社台ファームから約31kmにある植苗地区に新築移転。5月22日から診療を開始した。

 

 開院式には(有)社台コーポレーション代表取締役の吉田照哉社台ファーム代表、吉田勝己ノーザンファーム代表、吉田晴哉追分ファーム代表、社台ホースクリニックの加藤史樹所長、社台スタリオンステーションの徳武英介場長をはじめとした社台グループ関係者、田中芳郎胆振軽種馬農業協同組合代表理事組合長、越智直弘札幌競馬場場長、田中秀俊胆振獣医師会会長、関一洋日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センター上席調査役、木村淳苫小牧市副市長、工事関係者など約100人が出席。装いも新たになったクリニックの開院を祝った。

 

 開院に際して吉田照哉代表は「社台ホースクリニックは、最初はノーザンファーム空港牧場のなかにやや30年前にできましたが、いまや社台グループばかりでなくほかの牧場の方にとってもとても重要な施設となっています。年間700頭以上の手術をし、命を救われた馬もたくさんいます。いままでのところは手狭になったということで、このような立派な施設ができましたが、アジア全体でこれだけ立派な施設はないとおもいます。日本の馬が外国へ行ってどんどん勝つ時代になりました。その要因には調教技術というのもあるのでしょうけど、やはり、獣医のレベルが高くないと、いまの競馬は支えきれないというところまできています。まさにこの施設を使っていただいて、日本の競馬の発展のために尽くしていただければなあとおもっております」とあいさつ。

 木村副市長は「社台ホースクリニックの新施設の開院、まことにおめでとうございます。今後におかれましても地域に根差した競走馬専門の最先端の総合医療が受けられる、この新しいクリニックから、日本を代表する競走馬が輩出されることで、さらなる苫小牧の観光PRにつながることを期待をしているところでございます」と所用で欠席した岩倉博文市長の祝辞を代読した。

 

 開院式後の昼食会では吉田勝己代表が「あそこまで大きくなるとは完成してから驚きました。あれくらい大きいと、これからやらないといけないことが増えてくるとおもいます。前のところはつぎはぎつぎはぎで増えていって、みなさん苦労していました。これから運営をどうするのか、ひじょうに頭の痛いところとおもいますが、いろいろな獣医の先生、優秀な人材を育てていただければとおもいます。トップの馬が日本にいっぱいいるので、世界に負けないような施設で、すべての面で負けないで、いままで日本から外国へ行って勉強していましたが、外国の先生もここにきて勉強したいというような施設になってくれたらとおもっています」とあいさつ。越智場長、田中会長、関上席調査役からは、開院への祝福、クリニックへの期待などのコメントがあった。

 

 新築移転した社台ホースクリニックの敷地面積は23,733.00m2。2階建ての診療棟、日帰り手術のための待機厩舎(4馬房)、10馬房の入院厩舎、2馬房の種牡馬専用厩舎、感染症対策となる2馬房の隔離厩舎がある。診療棟には全身麻酔が行える3つ手術室、立位で行える1つの手術室があり、覚醒室が5室。待つことなく次々と手術できるような設備、態勢を整えた。手術室から検査室、いろいろなところに移動できるCT検査装置をアメリカから日本ではじめて導入。加藤所長を含め7名の獣医師、6名の動物看護師、4名の事務員など、合計17名で施設を運営する。加藤所長は「われわれスタッフのレベルアップはもちろん、この施設を使って日本の馬のために尽力したい」と話した。