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北海道スプリントカップ(Jpn3)はケイアイドリーが重賞初制覇

  • 2023年06月05日
  • 3度目の重賞挑戦で初勝利を記録したケイアイドリー
    3度目の重賞挑戦で初勝利を記録したケイアイドリー
  • 16キロ増に驚いたファンも多かった
    16キロ増に驚いたファンも多かった
  • 激しくやりあう先行勢を尻目に楽々ゴールイン
    激しくやりあう先行勢を尻目に楽々ゴールイン
  • 昨年の白山大賞典(Jpn3)以来の重賞勝利を記録した藤岡騎手
    昨年の白山大賞典(Jpn3)以来の重賞勝利を記録した藤岡騎手
  • 半兄ケイアイパープルに続き兄弟重賞勝利となった
    半兄ケイアイパープルに続き兄弟重賞勝利となった
  • 「オーナーの地元。みんなの応援が力になった」と村山調教師(1番左)
    「オーナーの地元。みんなの応援が力になった」と村山調教師(1番左)

 かつては12歳のオースミダイナーが早め先頭から押し切り、10歳のメイショウアイアンが豪快な追い込みを決めた北海道スプリントカップ(Jpn3)。来年からは3歳馬限定競走へと生まれ変わるので現行条件では一応、最後のレースとなった「第27回北海道スプリントカップ(Jpn3)」。そんな数々の名場面を創り出してきた伝統のレースに相応しい意地と意地のぶつかり合いとなった。

 電撃の6ハロン戦。序盤から激しい争いとなった。さすが歴戦のスプリント王者たち。スタートはほぼ互角だったが、その中から抜け出そうとしたのはダンシングプリンス。しかし、昨年2月にはサウジアラビアで行われたリヤドダートスプリント(G3)、そしてJBCスプリント(Jpn1)を制した現役屈指のスピード馬と真っ向勝負を挑んだのは、次代を担うスペシャルエックスとジャスティンだった。前者は昨年2歳6月のデビューからイノセントカップまで3連勝。兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)では地方競馬最先着2着と健闘し「2歳チャンピオンシリーズ2022」で堂々トップとなった快速馬で、後者はJRA唯一のダートスプリント重賞カペラS(G3)の優勝馬。今年に入ってからはサウジアラビア、そしてドバイを転戦してここに挑んできた。

 この3頭がピッタリと並んだまま後続を2馬身、3馬身と引き離す。最初の2ハロンはなんと22秒4で、3ハロン通過は33秒7というハイラップ。かつて、アザワクが1000mのレコードをマークしたときの最初の2ハロンが不良馬場で23秒0、2017年の北海道スプリントカップ(Jpn3)でニシケンモノノフが今も残るレコードタイム1分9秒4を記録したときが不良馬場で23秒2だったことからも、その凄さをご理解いただけるだろうか。離れた4-5番手には地元の意地を見せたいホッカイドウ競馬の現役最強スプリンターのスティールペガサスとJRA所属のアイオライト。それらを見るような位置にいたのは「思い描いていたいくつかの展開の中で、もっとも理想に近い形だった」とほくそ笑む藤岡康太騎手が騎乗する3番人気ケイアイドリーが続く。

 3角のコーナーワークを利して、わずかに先頭を奪ったのはジャスティンだったが、そんな激しい戦いが最後まで続くわけもない。直線に向くと後続馬がすぐ後ろにまで迫っており、まずスペシャルエックスが最初に脱落。ジャスティンが逃げ込みを図ろうとするところ、あっさりと突き抜けたのはケイアイドリーだった。ダンシングプリンスが最後の力を振り絞ってジャスティンを交わしたところ、外から追い込んできたのは1番人気アイオライトと地元のスティールペガサスと、20年の道営スプリントの覇者ジャスパーシャイン。先行争いを演じた3頭は5~7着と沈んだが、存在感を見せつけたレースでもあった。

 勝ったケイアイドリーはエスポワールシチー産駒の6歳馬。エスポワールシチーの産駒といえば前年のNARグランプリ年度代表馬イグナイターが前日に浦和競馬場で行われた「さきたま杯(Jpn2)」に勝っており2日連続のダートグレード勝利となった。

 ケイアイドリーは、あまり輸送に強い体質ではなく、門別競馬場到着後は騎乗運動を行わずに引き運動のみでの仕上げ。そのため大幅に体重が増え、スタートダッシュもこの馬としては今ひとつだったが、高いスプリント能力を発揮した1戦だった。このあとはJBCスプリント(Jpn1)を目標にしたいという。