ヒダカソウカップはネーロルチェンテが3度目の挑戦で初勝利
これが、円熟味を増したベテランの強みか。
今後、ノースクイーンカップ、そしてブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)へと続くホッカイドウ競馬の牝馬頂上決戦第1弾「JBC協会協賛マジェスティックウォリアー賞第9回ヒダカソウカップ」は5月25日、門別競馬場で行われ、日高町ナカノファーム生産で、石川倭騎手騎乗の5番人気ネーロルチェンテ(道営・米川昇厩舎)が4コーナーでインから抜け出して優勝。3つ目の重賞タイトルを獲得するとともに通算成績を38戦10勝2着5回3着3回とした。
レース前、転入初戦のスイセン特別を勝って伏兵の1頭と見られていたフクノルッカが疾病のため出走取消。10頭立てとなったものの、内6頭が重賞ウィナーで、残る4頭中2頭が重賞で連対実績がある馬。しかも、冬場を休養に充てていた馬もいれば、他地区へと遠征していた馬もいて、馬券を買うファンにとっては頭の痛い1戦となっていた。
人気を集めていたのは連覇を狙うクーファアチャラ、2歳時にホッカイドウ競馬の重賞「フルールカップ」に勝ち、その後は南関東で力をつけたスティールルージュ、あるいは未知の魅力にあふれた3歳牝馬サルトアンヘルと、昨年のグランダムジャパン3歳シーズン2位のグラーツィアなど。
レースは外枠から勢いよく飛び出したクーファアチャラのリードでスタートした。同馬と先行争いをするとみられていたスティールルージュと、グラーツィアがこれを追う展開。
昨年、そして一昨年と2年連続で1番人気を裏切っていたネーロルチェンテは「ポジションはどこでもよかった。とにかく、この馬のリズムで」という石川騎手の思惑どおりに後方追走。クーファアチャラが作り出すペースは半マイル通過が50秒7で、前半1000mが63秒1。内回り特有のよどみないペースでレースを引っ張る。この流れに苦しくなったのは砂が深いインコースを進んだグラーツィアで早々に脱落。逆にサルトアンヘルと、レディアリエスが外から差を詰めようとするも、前を行くクーファアチャラは軽快だ。各馬が外を回って追い上げようとするなか、圧倒的な馬格を誇るネーロルチェンテが空いたインコースを通ってポジションを上げる。この時点で「勝てる」と思ったという石川騎手はコーナーワークを利するように先頭に並びかけ、残り150mでかわすと一完歩ごとに差を広げ、ゴールでは2馬身の差をつけた。
この勝利に石川騎手は「外に出す必要はないと感じた。(結果を出せて)ホッとしました」とはにかみながらも笑顔を見せ、「次のレース(ノースクイーンC)につながるようなレースをして欲しい」と送り出した米川調教師は「距離もベストとはいえず、また内回りコースのリズムはネーロルチェンテには合わないと思っていた」と、嬉しい誤算にニッコリ。クーファアチャラの連覇を阻んだネーロルチェンテが、今度はノースクイーンCの連覇へと挑むことになる。