コスモバルク記念はシルトプレが圧巻の走りを披露
休み明けも、58kgも関係なし。これが、王者の走りだ。
2022年、全国地方競馬3歳馬の頂点に立ったのは新ひだか町の藤原牧場生産シルトプレ。じっくりと冬シーズンを充電期間に充てて挑んだ4歳シーズン第1戦。ホッカイドウ競馬から生まれた生ける伝説の名を冠したJBC協会協賛ゴールドシップ賞「第13回 コスモバルク記念」では2番人気という「低評価」に反発するかのように、圧巻の走りを披露した。
1番人気は王冠賞でシルトプレの三冠を阻んだエンリル。北斗盃2着で北海優駿4着。全国から猛者が集うダービーグランプリでもシルトプレの2着し「偉大なるナンバー2」からの脱却を狙うスピードスターだ。「シーズン初戦でもあり、やや余裕残しの仕上げ」だったという今シーズン初戦の「ナダル・プレミアム」では序盤に伏兵馬たちに絡まれる展開になりながらも、それらを振り切って幸先の良いスタートを切っている。馬体重こそ前走から増減なしだったが、パドックを歩く姿には実戦を経験している強みすら感じられ、ファンからは1番人気の支持を受けていた。
離れた3番人気はJRA3勝クラスからの転入馬ゼンノジャスタ。昨年の最終週に転入初戦を快勝し、前走は大きく体重を増やしながらも3角からエンリルを捕まえにいく積極的な競馬で2着。新しい砂にもしっかりと対応して、今シーズンの古馬戦線での活躍が期待される1頭だ。
レースは大方の予想どおりにエンリルの逃げで始まった。小野騎手に乗り替わったバンカブルスターが2番手に。前走は後方のままレースを終えたが「馬の気分を損ねないように」と、言わば捨て身の戦法だ。エンリルとは何度も顔を合わせて、この馬の強さを知る石川倭騎手は「あまり離されないように」とシルトプレを3番手で追走させてプレッシャーをかける。前半5ハロンの通過ラップは61秒8。不良馬場で行われた「ナダル・プレミアム」が61秒1だった良馬場ということを考えればかなり早い。ちなみに、コスモバルク記念の前日に行われた「キズナ・プレミアム」は63秒1だった。
さすがに、このペースではエンリルは苦しく4角手前ではムチが入る始末。一方、3角でバンカブルスターを切り捨てたシルトプレの石川騎手は「ずっと余力があって、手応えも十分だった」という言葉どおりに早々にライバルを射程圏内にとらえると、最後は独走状態に。後方で脚をためていた前走ナダル・プレミアム3着のドテライヤツがエンリルを交わして2着に浮上。ゼンノジャスタは末脚不発の5着だった。
レース後、「状態が良かったので、レースは騎手に任せた」という米川昇調教師が「びっくりした」と目を丸くするほどの強さだった。
レース後のインタビューで石川騎手、米川調教師ともに次走については明言を避けたが「もっと強くなっていくと思う」「楽しみ広がる」と明るい将来を示唆。JRAからの移籍組が入り混じる古馬戦線の層は厚いが、大きな夢を感じさせるコスモバルク記念となった。