馬産地ニュース

軽種馬育成調教センターが育成調教技術者養成研修第41期生開講式

  • 2023年04月21日
  • 夢と希望を胸に入講した27人の第41期生
    夢と希望を胸に入講した27人の第41期生
  • 式辞を送る草野広実理事長
    式辞を送る草野広実理事長
  • 4月に完成したばかりの新しいあかしあ寮
    4月に完成したばかりの新しいあかしあ寮

 4月19日、浦河町西舎にある公益財団法人軽種馬育成調教センター(草野広実理事長)は、浦河町西舎のうらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)において、育成調教技術者養成研修の第41期生開講式を執り行った。

 第41期生は72人の志望者から、厳正な選考を経て選ばれた27人。北海道、岩手県、新潟県、茨城県、埼玉県、千葉県、静岡県、長野県、福井県、岐阜県、三重県、滋賀県、大阪府、兵庫県、岡山毛、広島県、山口県出身の18歳から25歳までとなる。開講式は新型コロナウイルス感染予防のため、研修生および軽種馬育成調教センター役職員のみが出席した。

 開講式では第41期生27人の氏名が読み上げられ、松尾雅洋専務理事が入講を許可。草野理事長は「みなさん、研修への入講、まずはおめでとうございます。みなさんは、大勢の研修を希望する人たちのなかから、とくにこの研修への参加意欲が高い、というふうなことを認められて、いま、ここに集まっています。これから一年間、研修を修了できるように、一日一日、しっかり自分のものにできるように頑張っていってもらいたいとおもいます。まず、さっそくみなさんに、心がけていただきたいことがあります。それは、いまこの27名全国から集まってきて、お互いに知らない人同士だとおもいますけども、集団生活に慣れて、そして、仲間同士よくコミュニケーションをとり、集合時刻に遅刻しない、ということ、まず、心がけてください。育成牧場の仕事というのはですね、まず、馬そのものが、群れで行動する、そういう動物である、ということで、朝、一緒に調教に出かけていきます。ですから、そこで、遅刻してしまう、ということがありますと、一日のスケジュールが台無しになってしまう、そういう心配もあります。朝、まず、遅れないようにして、そして、馬の状態、今日の仕事の進め方、そういったものをよく仲間同士で確認しあって仕事をする。それが基本なので、それを学ぶというのも、一番重要なところです。そういったことで、まず、そこのことを、しっかり心がけてやっていただきたいとおもいます。それと肝心の乗馬訓練ですけれども、年間で400鞍くらい乗ります。ですから、いま、まったく乗馬初心者、未経験者の人でも、来年のいまごろには、走路をかけあしで走れるようになっています。毎日の授業では、教官から細かくいろんな指示がありますけれども、よく聞いて、できるようになるまで繰り返し練習をし、あるいは、よくわからないことは、教官に何度でもアドバイスを求め、あるいは、夕方自由時間が少しあるんですけれども、乗馬シミュレーターに乗ったり、体幹や筋肉を鍛える。そういった努力をしてください。先週の金曜日に、みなさんの一期上の研修生24名の修了式を行いました。その人たちの感想文をみますと、とにかく一年間、あっという間だった。無駄な日は一日もなかった。この一年で明らかに自分は成長した。まだまだできないことはいろいろあるけれども学んだことを活かして牧場でがんばっていきたい。そういったことを書かれています。そのなかで、ひとり、こういう感想の人がいました。ある研修生は、夏に怪我をしてしまって、2か月馬に乗れませんでした。その間、何度もやめとうかとおもったそうです。しかしながら、教官や上手に馬に乗れてる人たちのことをよく観察し、できる仕事をやり、そして、2か月後に再び馬に乗れた時にはほんとにうれしかった。ということです。その人は結局、2か月ブランクがあったにもかかわらず、最終的に、技術的にみんなに追いつき、JRAの育成馬にも乗っていました。そういったことで、この後、みなさん乗馬訓練をやっていくなかでですね、なかなか教官のいうとおりに馬を動かせない。あるいは、なんらかアクシデントがあって一定期間馬に乗れない。そういったことがあってですね、心が折れそうになること、あるかもしれません。しかし、簡単にこれをあきらめてはいけません。実際にそうやって2か月ブランクがあっても追いついた人がいる。ということですね。わたしたちはみなさんを一年後、優秀なホースマンとして送り出せるということに確信を持っております。ですから、みなさんも、ぜひ、この研修をやりとげてですね、その先には単に牧場で働けるということだけではなくて、いずれは、それぞれの勤務先でリーダーシップをとれる存在になる。あるいは、将来は、自分で牧場を経営する。馬主になる。あるいは、競馬場の厩舎スタッフから調教師になる。そういった可能性が大きく広がります。わたしたちは、みなさんに、そういう期待をしてる、ということをお伝えいたしまして、開講のごあいさつとします。本日はおめでとうございました」と式辞を述べた。

 この研修は、競馬の安定的発展のための軽種馬生産基盤の強化と軽種馬の資質向上に向けて、将来軽種馬生産地において技術的中核となるべき者に馬に関する体系的な技術・知識を習得させることを目的としたもので1992年に開講。研修期間は1年で、前半の6か月間で軽種馬の育成調教技術者として就労するための基礎的な知識・技術の習得を目標とし、後半の6か月間では前半の6か月間で学んだ知識・技術をさらに深めるとともに、若馬の馴致・初期調教を含めより実践的な技術の習得を目標としている。第1期から第40期合計で593人の人材を競馬サークルへ送り出したという。研修中は寮での集団生活を送る。

 第41期生からは新たに建設されたあかしあ寮に入寮。2023年4月12日に竣工されたばかりの寮は、3階建てで延べ床面積は1896.97㎡。総工費は913,000,000円になる。全室冷暖房完備で個室は全40室。個室にはバス、トイレ、ベッド、机、いすが完備されている。1階は事務室、食堂、教室、トレーニングルームがあり、トレーニングルームにはホースシミュレーター3台、ランニングマシーン1台、フィットネスバイク1台、綱のぼり1本、筋トレ木馬2台ほか、各種フィットネス器具を整備。各自自由時間に騎乗フォームの確認、体幹トレーニング、下半身強化、筋肉強化などに取り組めるようになっている。

 2階3階は居室。2階および3階の居室は可動間仕切りで、性別の増減に対応でき居室を変更できる。

 BTCは「いまの時代に対応し完全個室でプライベートが確保できるようにしました。これまで以上に集中して研修に励むことができると期待しているところです。将来的には研修乗馬もいまの53頭から増やして、教官も増員して、研修生の数も30人にしたいですね」と話した。