日本軽種馬協会静内種馬場で2023年(第45期)生産育成技術者研修開講式が行われる
4月4日、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場研修所において、2023年度(第45期)生産育成技術者研修の開講式を執り行った。
第45期生は約50人の応募者から選考試験を経て選ばれた18歳から28歳までの16人。「将来、馬と関わる仕事、特に生産牧場で働きたい」、「生産牧場で働くために一から馬について学びたい」、「競走馬の育成に携わる仕事がしたい」、「競走馬の育成現場、更にはJRAの厩務員として働くことに強い憧れを持ちました」、「強い馬を育てるためには育成調教だけでなく、母馬の管理から学ぶ必要があると思いました」などといった志を胸に、北海道のみならず日本各地から集まった。
開講式は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、地元行政や軽種馬関係の来賓、研修生の家族などの出席を取りやめ、第45期生とJBBA職員のみが出席。第45期生ひとりひとりの氏名を読み上げ研修生を紹介し、遊佐繁基場長から「2023年度生産育成技術者研修生16名の入講を許可いたします」と入講許可を言い渡された。
本部から駆け付けた上野儀治副会長・常務理事は「まずもって、本日、入所された16名の研修生のみなさんには、心からお祝いを申し上げます。例年であれば、本席には、地元行政や軽種馬生産関係者のご来賓、そして、みなさまのご家族のご臨席をたまわり、門出を祝っていただくところでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、本日は、関係各位のご出席をご遠慮いただき挙行することとなりました。みなさんには大変申し訳なくおもっておりますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。さて、昨年の競馬開催を振り返ってみますと、中央競馬、地方競馬ともに、コロナウイルス感染症拡大防止に最善を尽くし、入場制限等の手段を取りながら、着実に開催され、その売り上げも好調が続いております。また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録。生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字をのばし、順調に前進を続けております。このように、一時期苦しい状況に置かれていた競馬産業も、ここ数年再び盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような強い競走馬を生産、育成し、競走の魅力を向上させることが最重要課題のひとつとなっており、そのためには、生産育成の分野における専門的な訓練を受けられる、みなさんのような技術者の力が不可欠でございます。本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年秋から本研修を開講しております。今年ですでに31年の歴史を有し、これまでに493人にのぼる修了生を、軽種馬生産界に送り出してきました。本研修事業に対する競馬サークルの期待は大きく、歴代の修了生もこの期待に応えるべく、それぞれの職場でおおいに活躍されております。みなさんが本日から受ける研修の内容は多岐にわたっており、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識等、およそ牧場で必要となる作業全般について体得していただくこととなります。研修中はどうか健康に留意され、ホースマンとしての研鑚に努め、馬を愛し、1年後には1人も欠けることなく、晴れやかな笑顔で修了式を迎えられることを切に願ってやみません。そして、みなさまには、これからの軽種馬生産界に、新たな活力をもたらす原動力に、ぜひなっていただきたいとおもいます」と河野会長理事の式辞を代読。続けて「不安とか緊張が、あろうこととおもいますが、来年の3月になったら、みなさん、自信を持った顔で卒業できるとおもいます。この1年間、人生のかけがえのない1年間になること、間違いないとおもいます。ぜひ、一日一日を大切に、楽しい気持ちを忘れずに、お過ごしください」と激励の言葉を送った。
最後は第45期生を代表して長田朝陽さんが研修生宣誓。「わたしたち第45期生産育成技術者研修生は、軽種馬生産界の期待に応えるよう、地域に根差した軽種馬産業の担い手として、一流のホースマンを目指し、常に向上心と探求心を持って研修に臨み、知識と技術を高めることを誓います」と決意を述べた。
開講式後の昼食会では遊佐場長があいさつ。「ようこそ、JBBAの研修にお越しいただきありがとうございます。みなさんは49名の募集から選ばれた16名です。これからいろいろな研修が始まります。最初はですね、何事もできないとおもいますが、それはぜんぜん心配しないでけっこうです。来年3月にはみなさん、立派なホースマンの第一歩を踏み出して旅立っていくとおもいます。それまで辛いこともあるとおもいます。ここに入った目的とか初心を忘れずに、日々頑張っていただきたいです。今期から研修所のスタッフも一人増えまして、より充実した研修が行われます。安心して受講してください。馬に関わることなので危険も伴います。先生たちがたまに大きな声を出すことがありますが、それはみなさんのことをおもってのことです。そのへんはしっかり感じていただきたいです。1年はあっという間です。一日一日を大切に研修に励んでください」とメッセージを送った。
軽種馬生産育成技術者研修カリキュラムは、馬の性質と態度、馬の取扱い・馬への接近、愛撫と懲戒、馬の手入れ、曳き馬と馬の保持といった基礎知識、馬の種類、馬体の名称、馬の個体鑑別、馬の成長と年齢、相馬、馬と人の歴史、馬の健康管理、馬の異常、応急処置、保定法、護蹄管理、馬の栄養、飼料、馬の運動生理、馬体のつくり、競走馬の血統、競馬の要素、競馬の仕組みといった馬学、乗馬・下馬、馬上体操、乗馬の基本姿勢、柔軟、号令と運動、扶助、回転といった基本馬術、分娩管理、妊娠・妊娠鑑定、流産、原因、予防といった繁殖学などの講義、基本馬術、応用馬術、競走馬術、ロンジング、ドライビングといった騎乗訓練、堆肥造成、厩舎清掃、牧柵点検、修理、放牧地、草地管理、除雪などの作業、手入れ管理実習、JRA育成馬展示会見学、体力測定、せり見学、競馬場見学、ウォーキングマシーン講習、離乳見学、種馬場実習、民間牧場見学などの実習・見学、レクリエーション、BOKUJOU体験会、研修生馬術大会、健康診断、駅伝参加、求職登録など。アルキメデス、ケイアイレオーネなど26頭の研修乗馬、遊佐場長や7名の研修課のスタッフらが1年間の研修をサポートする。