北海道日高装蹄師会が装蹄競技大会開催
3月27日、道内の認定装蹄師などで構成する北海道日高装蹄師会(会員88名、門別尚省会長)は、浦河町西舎にあるJRA日本中央競馬会日高育成総合施設軽種馬装蹄所において、第29回装蹄競技大会を開催した。
装蹄競技大会は会員の装削蹄技術の向上と連携強化を目的としたもので、公益社団法人日本装削蹄協会、北海道庁、JRA日高育成牧場、浦河町、公益財団法人軽種馬育成調教センター、日高軽種馬農業協同組合、日本中央競馬装蹄師会、滋賀県装蹄師会、南関東競走馬装蹄師会、岩手競馬装蹄師会、クレイン装蹄師会、北海道牛削蹄師会が後援、(株)タイワ、(株)ファイ健ホース、(有)今井製作所、(有)エフ・エム・オーが協賛。10月に栃木県宇都宮市で開催を予定している全国装蹄競技大会の予選を兼ねており、成績上位5名に出場枠が与えられる。
昨年は同会推薦出場枠から出場した大東正史氏が総合優勝に該当する最優秀賞を受賞。同会会員のレベルアップは目覚ましく、近10年の全国大会で3名が総合優勝を果たしている。
今年の大会には大会参加対象になる会員79名のなかから、20歳から39歳までの14人が参加。14人の出場は過去最多になるという。開会式で競技大会会長を務めた門別会長は「本日はお忙しいなか、また、早朝よりお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、開催にあたりまして、多大なるご協力、ご支援をいただきましたJRA日高育成牧場様、軽種馬育成調教センター様、ご後援、ご協賛いただきました関係各位に、心より感謝申し上げます。選手のみなさまにおかれましては、日ごろの練習の成果を十分に発揮していただきますよう願うとともに、今回、大会史上最多となる14名の参加選手になったことに、心よりうれしくおもっております。また、会員のみなさまにおかれましては、長丁場となりますが、スムーズに大会が開催されますよう、ご協力よろしくお願い申し上げます」とあいさつした。
競技は、所要時間25分で、3分6鉄桿を用い、後肢左右を作製する単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ)、所要時間25分で判断用馬1頭につき与えられた判断用紙に前肢・後肢の肢勢、蹄形、歩様、疾病損徴、多削部位、装蹄の方針などを記入提出する装蹄判断、規定時間60分以内に指定された実馬の前肢1蹄に合わせた07タイプ蹄鉄1個を単独で造鉄し、その蹄鉄を用いた装蹄と同会会長が指定する課題蹄鉄1個の造鉄を完了する装蹄の3種目で実施。単独造鉄は8項目の細目に区分し200点満点、装蹄判断は100点満点、装蹄は、装蹄用蹄鉄、削蹄、仕上げの細目に区分し、各90点と、課題蹄鉄の100点の370点満点で採点し、単独造鉄競技の成績上位8人が、最後の競技の装蹄に進んだ。
審査は竹田和正JRA日高育成牧場専門役を競技審査委員長に、全国装蹄競技大会総合優勝経験者である同装蹄師会の中館敬貴理事、森野健太副会長、大東副会長の3人が競技審査委員となり4人が担当。厳正な審査の結果、浦河町の岡本昂昌氏が総合優勝した。
閉会式では竹田競技審査委員長ら審査委員が各競技について講評。続いて総合優勝の岡本氏や部門賞の受賞者を表彰した。
9度目の出場で悲願の総合優勝を果たした岡本氏は「この大会から昨年の全国大会で総合優勝した大東さんから激励の言葉をいただいていたので、優勝できてホッとしています。ずっと練習は続けていましたが、一週間前くらいから調子を崩したりケガをしたりして、どこまでできるか自信はなかったのですがよかったです。けっこう露骨なミスもあって自分で採点しても低いところが多々あったので、今日の結果を踏まえて自分の技術を磨いて全国大会に臨んでいきたいとおもいます」と話した。
門別会長は「近年、装蹄業界自体が若手の人手不足と危惧されているのですが、そのなかで若い人たちが目標をもって出場してくれたことはうれしくおもいます。造鉄、装蹄という競技のために練習することによって、技術も上がりますし、審査されることによって自分の良い点、悪い点がわかるので、それがまた、日ごろの作業に生きるのが競技大会の良いところです。若い人たちの技術を向上させる目的で競技大会を開催しているので、これからも若い人たちが出場して競技大会を盛り上げてくれたらうれしいです」と大会を振り返った。
結果は下記の通り(敬称略)。
総合優勝:岡本昂昌(浦河町)430.8点
総合2位:川井伸太郎(滋賀県)406.7点
総合3位:武藤涼(千歳市)379.7点
総合4位:尾崎智久(千歳市)374.3点
総合5位:黒田優輝(千歳市)366.3点
部門賞
単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ):岡本昂昌(浦河町)147点
装蹄判断:尾崎智久(千歳市)70点
装蹄:武藤涼(千歳市)244.5点