日本軽種馬協会静内種馬場で2022年(第44期)生産育成技術者研修の修了式が行われる
3月18日、公益社団法人日本軽種馬協会(河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場において、2022年(第44期)生産育成技術者研修修了式を行った。
修了式は、本年も新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、地元行政や軽種馬生産関係の来賓、研修生の家族らを招かずに挙行。宮城県、栃木県、東京都、長野県、三重県、京都府、鳥取県、高知県、福岡県、熊本県、沖縄県出身の、19歳から25歳の15人(男性9人、女性6人)と協会職員のみが出席した。
第44期生15人は昨年4月に入講してから約1年間、寮での集団生活で軽種馬生産育成に必要な知識や技術を、講義や実技を通して習得。研修修了後は日高や胆振、本州の育成牧場や生産牧場へ就業するという。
研修所の講義室で行われた修了式では、遊佐繁基場長が15人に修了証書と記念品を授与。上野儀治副会長理事は「まずもって、昨年から一年間、厳しい訓練を耐え抜き、本日、晴れて研修を修了される研修生のみなさまに、心からお祝いを申し上げます。さて、2019年末に流行が始まった、新型コロナウイルス感染症でございますが、8回目の感染拡大となる第8波もようやく落ち着きをみせ、2類相当から5類への感染症法上の位置づけの変更など、社会経済活動の活性化が検討されるようになってまいりました。しかしながら、ウクライナ情勢の影響、物価上昇や人手不足などの懸念材料も多く、産業界では、国内外で不透明感が漂う状況が続いております。このような状況下でありますが、競馬のほうは、中央、地方競馬ともに、感染拡大防止に万全を尽くしながら着実に開催され、ネット投票の拡大などにより、その売り上げは、たいへんに好調に推移しております。また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は、過去最高を記録、生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字を伸ばしており、軽種馬生産も順調に成長を続けております。このように、一時期苦しい状況におかれた競馬産業も、近年はさらに盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていく主役は、馬であり、多くのファンを引き付ける強い競走馬を生産、育成し、競走の魅力を向上させることが、競馬の振興に最も大切であることは、いうまでもありません。そのためには、生産育成の分野における、専門的な訓練を受けられた、みなさんのような技術者の力がたいへん重要となるわけでございます。本協会では、生産育成界の期待に応え得る技術者を養成するため、平成2年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者は今年で493名にのぼります。この本研修の修了者に対する、業界内の評判はきわめて高く、今回巣立たれるみなさんを含め、修了生の就職率は100%を誇っております。また、定着率も約8割と高い水準にあり、本研修を修了した先輩方の、生産界への貢献はまことに大きいものとなっております。本日、ここから巣立っていくみなさんには、プロとして、この道を選択されたからには、先輩に負けぬよう、自分を厳しく律して精進し、生産育成界の立派な担い手へと、成長されることを強く願っております。また、それと同時に、この日本でも、アニマルウエルフェアの重要さがやっと認識されるようになってまいりましたが、この研修で培った馬を愛する気持ちを忘れずに、人にも馬にも愛されるホースマンになられることを心から祈っております。結びに、改めまして、みなさんの研修修了を心からお祝い申し上げますとともに、今後のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます」と多忙で出席が叶わなかった河野会長理事の式辞を代読した。
最後は研修生を代表して八木聖也さんが謝辞。「2022年4月より1年間、われわれ第44期生は、ひじょうに多くのことを学ばせていただきました。基本となる厩舎作業や騎乗訓練、その他、さまざまな実習で多くの経験を積んだことは、わたしにとって大きな糧となりました。はじめに入講したての頃は、馬に触れたことさえなかったわたしにとって、苦労の連続でした。慣れない肉体作業に、自分より体の大きな動物との接触、研修等、すべてが初体験であり、毎日が新発見の日々となっていました。道具の扱いすら、ままならないわたしたちに、先生方は何度も根気よく教えてくださりました。それと同時に、自分たちで考え、行動をする力を身につけることの重要さを教えていただき、軽種馬産業で社会人として生きるための、礎も学ばせていただきました。また、日々、成長していくなかで、さまざまな壁にぶつかりましたが、先生方の指導と仲間たちの協力で、これを乗り越えていくことができました。騎乗では、鐙の上で立つことすらままならない状態から、はやあし、かけあしと段階を踏んで練習をし、ひとつ課題を成し遂げるたびに、よろこびと達成感を味わうことができました。研修が中盤に差し掛かり、難易度の高い乗馬に騎乗することになったとき、その馬の制御の難しさに愕然としました。自身の未熟さを痛感し、さらなる技術の研鑽に励み、そして、今日、騎乗供覧の騎乗馬として、その馬に乗ることができました。こうして、目に見える形で成長を実感することができ、ほんとうにうれしくおもっています。4月より、牧場へと就職し、社会人としてはたらくことになりますが、研修にて学んだ技術や知識、はたらくうえでの心構えなどを存分に発揮し、軽種馬産業に貢献していきたいとおもいます。最後に、本研修におきまして、指導してくださった先生方、食事のお世話をしてくださった寮母さん、実習にてお世話になりました種馬課の方々やJRA日高育成牧場の方々、そして、馬のことを教えてくれた26頭の研修乗馬たちに感謝を申し上げます。ありがとうございました」と頭を下げた。